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SunoやUdioで作った曲は、そのままだと「AIっぽい音」のままです。高域のシャリつき、低域のにごり、潰れたダイナミクスが残りがちです。この記事では、AIで作ったデモをFL Studioで自分の作品として仕上げる手順を、ステムの書き出しから配信前のチェックまで順番に解説します。

結論から言うと、流れは「規約の確認 → ステム書き出し → FL Studioで整理 → ミックス → マスタリング → 配信前チェック」の6段階です。特に2026年9月の Suno v6 公開に合わせて、ダウンロード回数や商用利用の条件が変わりました。作業を始める前に、必ず最新の規約を確認してください。

この記事でわかること

  • Suno v6 のダウンロード上限と商用利用の条件(2026年10月時点)
  • Sunoのステム書き出しと、FL Studio内蔵のステム分離の使い方
  • AI曲によくある音の問題と、ミックス・マスタリングでの直し方
  • 配信前に確認すべき規約・著作権・ディストリビューターのルール

AI曲をFL Studioで仕上げる全体の流れ

AI曲の仕上げは、まず権利面を確認し、次にパートごとの音(ステム)で作業するのが基本です。2ミックス(全パートが混ざった音源)のままでは、ボーカルだけ、低音だけを直すことができないからです。

段階やること主なツール
0. 規約の確認プランと商用利用の条件、ダウンロード上限を確認Suno の利用規約・ヘルプ
1. ステム書き出しボーカル・ドラム・ベースなどを別々のWAVで書き出すSuno の Get Stems / Suno Studio
2. FL Studioで整理テンポを合わせて読み込み、足りないパートは分離Playlist、Extract stems from sample
3. ミックスEQ・コンプ・差し替え・空間系でAI特有の問題を直すFruity Parametric EQ 2 など
4. マスタリング音圧と質感を配信向けに整えるFL Cloud Mastering、Maximus、Ozone 12
5. 配信前チェック規約・類似性・ディストリビューターのAIポリシーを確認DistroKid、TuneCore Japan など

FL Studioの基本操作に不安がある場合は、先にFL Studioの使い方を読んでおくとスムーズです。

この記事の手順は FL Studio Template Pro に設定済みです。 詳細を見る →

始める前に:Suno v6 の規約とダウンロード制限(2026年10月時点)

Sunoの曲を商用で使えるのは、原則として有料プラン(Pro / Premier)で正規にダウンロードした曲です。2026年9月3日に利用規約とダウンロードのルールが改定され、9月9日には新モデル v6 が公開されました。

プラン別のダウンロード上限

Suno公式のヘルプと告知によると、2026年9月3日以降のダウンロード上限は次のとおりです。この上限は、9月3日より前に作った曲のダウンロードにも適用されます。

プランダウンロード商用利用
Free2026年9月3日より前の登録者は、生涯で最大7回のトライアルダウンロード(毎月の補充なし)不可(個人利用のみ)
Pro月20曲(請求日にリセット、繰り越しなし)可(規約の条件内)
Premier月60曲(同上)可(規約の条件内)
Premier + Suno StudioStudio 上のワークフローは上限の対象外可(規約の条件内)

同じ曲を複数の形式で落としても1回、再ダウンロードも追加カウントなし、と案内されています。ステムのダウンロードもその曲のダウンロードに含まれます。上限を超えた分は追加購入できます。出典はSuno公式ブログとSunoヘルプです。

v6 のモデルと使えるプラン

v6 は v6・v6-wild・v6-mini の3モデルで、旧モデルは同日に提供を終えました。v6-mini は全ユーザー、v6 と v6-wild は Pro / Premier 向けです。v6 は Warner Music Group、BMG、Believe(TuneCore を含む)と提携して開発されたと報じられています(Music Business Worldwide)。

商用利用で注意したい規約のポイント

  • 有料プランの加入者には出力の権利が譲渡されますが、商用利用の制限付きです。また、Sunoは出力に著作権が成立することを保証していません。
  • 録音やストリームリッピングなど、正規のダウンロード以外の方法で入手した音源は商用利用できない、と解説されています。
  • 透かしやメタデータを消して、出所やプランを偽ることは禁止とされています。
  • 他人の曲をもとにしたリミックス機能などは、ルールが別になる場合があります。

規約は短期間で変わります。仕上げを始める前と配信する前の2回、Sunoの利用規約を自分で確認してください。なお、UMG と Sony は Suno との訴訟を続けており、2026年9月には v6 を対象とする新たな訴えも報じられています(Variety)。

Udioの曲はどうなる?

Udioは2025年10月末にUMGと和解した直後、生成曲のダウンロードを停止しました。2026年10月上旬の時点でも、ダウンロードは停止されたままだと報じられています。ライセンス型の新プラットフォームは「サイトの外に持ち出せない」方式になると伝えられています。手元にあるUdioの曲を使う場合は、入手した時期の規約と現在の規約を両方確認してください。詳しくはAI作曲ツール比較2026でまとめています。

手順1:Sunoからステムを書き出す

仕上げの品質は、ステムをWAVで書き出せるかで大きく変わります。Sunoでは Pro / Premier の加入者が「Get Stems」でステムを作れます。

  1. Sunoの Workspace または Library で、仕上げたい曲の「More Actions(…)」メニューを開きます。
  2. 「Get Stems」を選び、分け方(Split type)を選びます。
  3. 「Extract」を押して処理を待ちます。
  4. 完成したステムを、WebブラウザからWAVでダウンロードします(モバイルアプリはMP3が既定です)。

分け方は3種類あります。Sunoヘルプと公式ブログによると、内容は次のとおりです。

モード内容プラン
Auto Split曲を解析し、ドラム・ベース・ギター・鍵盤など最大12ステムに分ける(1回50クレジット)Pro / Premier
Split from Mix指定した1パートと「それ以外」の2本に分けるPro / Premier
Advanced Split100近い楽器リストから、欲しいパートを指定して抜き出すPremier のみ

Premier で使える Suno Studio では、マルチトラックやステムを高解像度のWAVで書き出せ、Studio で作ったパートは MIDI でも書き出せます(Suno Studio 2.0 のヘルプ)。MIDIがあれば、FL Studio側で好きなシンセに差し替えられます。

書き出しのコツ

  • 曲のBPMとキーをメモしておきます。FL Studioのプロジェクト設定に使います。
  • すべてのステムが曲頭から同じ長さになっているかを確認します。そろっていれば、FL Studioで頭をそろえるだけで同期します。
  • 存在しないパートを指定すると、クレジットだけ消費して使えないステムになることがあります。まず Auto Split で全体を確認するのが無難です。

手順2:FL Studioに読み込んで整理する

ステムを読み込んだら、最初にテンポを合わせ、パートごとにミキサートラックへ振り分けます。ここを丁寧にやると、後の作業がすべて楽になります。

  1. 新規プロジェクトを開き、テンポをSuno曲のBPMに合わせます。
  2. ステムのWAVをまとめてPlaylistにドラッグし、すべて1小節目の頭にそろえます。
  3. 各オーディオクリップをミキサートラックに割り当て、「Vocal」「Drums」「Bass」などと名前を付けます。
  4. グリッドと曲が合っているか、キックとクリックを聞き比べて確認します。ずれる場合は、クリップの設定でテンポに合わせて伸縮させます。

AI曲はテンポがわずかに揺れることがあります。Sunoのステムプレーヤーには、曲の平均BPMにスナップした「Tempo-Locked WAV」の書き出しも用意されています。後から自分のドラムを重ねる予定なら、こちらを使うと合わせやすくなります。

ステムが無い場合:FL Studio内蔵のステム分離

2ミックスしか手元に無い場合は、FL Studio 21.2以降に入っているAIステム分離を使います。Image-Lineの告知によると、Producer Edition以上で使えます。

  1. 2ミックスのWAVをPlaylistに置きます。
  2. オーディオクリップ左上のアイコンからクリップメニューを開き、「Sample」→「Extract stems from sample」を選びます。
  3. Drums / Bass / Instruments / Vocals の中から必要なものにチェックを入れて実行します。初回は分離用モデルのダウンロードが求められます。
  4. 選んだステムが、元のクリップの下に新しいPlaylistトラックとして追加されます。FL Studio 2025.2以降は、ステムを別々のミキサートラックに送るオプションもあります。

処理中はFL Studioが一時的に操作できなくなります。長い曲は数分かかるので、「Limit CPU usage」をオンにしておくと安心です(公式マニュアル)。分離のコツや無料ツールとの比較はステム分離(ボーカル抽出)のやり方で詳しく解説しています。

手順3:ミックスでAI曲特有の問題を直す

AI曲のミックスでは、「足す」より先に「不要なものを削る」ことが効果的です。生成音源には、人間が作った曲とは違うクセがあります。

よくある問題原因の例直し方
高域がシャリシャリする生成・圧縮で生じる人工的な成分8kHz以上を狭めのEQで探して削る。ディエッサーやローパスも有効
低域がにごるベースとキックの帯域が重なっているベース以外のステムにローカット。キックとベースはサイドチェーンで分ける
ボーカルがこもる・埋もれる200〜500Hz付近のたまりその帯域を少し削り、コンプで粒をそろえる
音が平坦で迫力がない生成時点で圧縮されているドラムの差し替え・追加、トランジェント処理で立ち上がりを足す
ステレオが不自然に広い位相のずれ低域をモノラルにし、モノラルで聴いて音が消えないか確認

ミックスの手順

  1. ゲインを整える:各ステムのピークがミキサーで赤くならない程度(目安は-6dB前後)に下げます。
  2. EQで削る:Fruity Parametric EQ 2 で、不要な低域と耳に痛い高域を削ります。詳しくはParametric EQ2の使い方を参照してください。
  3. パートを差し替える・足す:キックやスネア、ベースを自分の音に置き換えると、音質と「自分らしさ」が同時に上がります。
  4. コンプとサイドチェーン:キックに合わせてベースやパッドを引っ込め、低域を整理します(サイドチェーンのやり方)。
  5. 空間系をまとめる:リバーブとディレイはセンドでまとめ、ボーカルの奥行きを作ります。

よくある失敗は、AIのステムを全部残したまま自分の音を重ねて、帯域がぶつかることです。差し替えたパートの元ステムはミュートするか、思い切って削除しましょう。ミックス全体の考え方はEDMのmixのやり方にまとめています。

人の手で加えた編曲や演奏は、音を良くするだけではありません。後で説明する著作権の考え方でも、人の創作的な関与が重要になります。

手順4:マスタリングで配信向けに整える

マスタリングは、FL Studio内で完結させるか、Ozone 12 のような専用ツールを使うのが手軽です。どれを使う場合でも、最終的な音量(ラウドネス)とピークを確認します。

選択肢1:FL Cloud Mastering

FL Studioの「File」→「Export」→「Master (FL Cloud)」から、AIマスタリングを使えます。無料で使えるのは「Default」プリセットで、FL Cloudの加入者はジャンルの選択や自動判別、Bass・Mid・Brightness・Warmth などの微調整も使えます。処理にはインターネット接続が必要です(公式マニュアル)。

選択肢2:FL Studio純正プラグインで組む

マスタートラックに EQ → コンプ → リミッターの順で並べるのが基本です。リミッターにはFruity LimiterやMaximusが使えます。FL Studio 2025.2以降は、全エディションにラウドネス・マキシマイザー「Emphasizer」も入っています。

選択肢3:iZotope Ozone 12

Ozone 12 の Master Assistant は、曲を解析してマスタリングチェーンを自動で組みます。Advanced 版には、2ミックスの中のボーカルやベースを個別にEQできる Stem EQ もあり、AI曲の仕上げと相性が良い機能です。

サウンドハウスで iZotope Ozone 12 を見る

ラウドネスの目安

Spotifyは再生時に -14 LUFS(曲全体の平均音量)を基準に音量をそろえます。マスターのトゥルーピークは -1dB 以下、-14 LUFS より大きく仕上げるなら -2dB 以下が推奨されています(Spotify for Artists)。必要以上に音圧を上げても、配信では音量を下げられるだけです。各ツールの比較はAIマスタリング比較、手作業の手順はプロが行うマスタリングの6手順を参照してください。

手順5:配信前に確認すること

配信前には、「AIサービスの規約」「ディストリビューターのルール」「著作権」の3つを別々に確認します。Sunoで商用利用が認められていても、配信先のルールを満たすとは限りません。

配信前チェックリスト

  1. 曲は有料プランで、正規の方法でダウンロードしたものか。
  2. 実在のアーティスト名や声に似せていないか。Spotifyは、無断で声をまねる楽曲を「なりすまし」として禁止しています。
  3. メロディや歌詞が既存の曲に似すぎていないか。
  4. ディストリビューターのAIポリシーを確認したか。DistroKidはアップロード時にAI利用の申告を求めています。TuneCore Japan もヘルプに「AIを使用したリリースに関するガイドライン」を掲載しています。
  5. YouTubeの Content ID に登録する場合、その曲の権利を自分が100%持っているか。権利があいまいな曲は登録しないのが安全です。

著作権の考え方(日本)

文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月)では、AIの生成物が著作物と認められるかどうかは、人の「創作的寄与」があるかで判断するとされています。簡単なプロンプトだけで生成したものは、著作物と認められにくい方向です。一方、人が生成後に加えた編曲や修正は、その部分に創作性が認められる可能性があります。

また、生成物が既存の作品に似ている場合は、学習の適法性とは別に、類似性と依拠性から著作権侵害かどうかが判断されます。この資料は法的拘束力のある判断基準ではありません。収益化する曲や判断に迷うケースは、専門家に相談してください。

FL Cloud から配信する場合

FL Cloud の有料プランには、DistroKid を通じた配信機能があります。ただし、解約すると配信中の曲がストリーミングサービスから取り下げられる仕様です(DistroKidと直接契約すれば継続可能)。長く配信したい曲は、配信方法を先に決めておきましょう。配信サービスの選び方は個人で曲を配信する方法で解説しています。

よくある質問

Sunoの無料プランで作った曲を仕上げて配信できますか?

できません。Sunoの案内では、無料プランのトライアルダウンロードは個人利用のみで、商用利用の対象外です。FL Studioでどれだけ手を加えても、元の音源の利用条件は変わりません。配信するなら、有料プランで正規にダウンロードした曲を使いましょう。

FL Studioのステム分離はどのエディションで使えますか?

Image-Lineの告知では、Producer Edition以上です。Fruity Editionで使いたい場合は、無料の分離ツールで作ったステムを読み込む方法があります。

AIで作ったことは表記するべきですか?

ディストリビューターや配信サービスによって、AI利用の申告やクレジット表記の仕組みがあります。DistroKidはアップロード時の申告を求めています。各社のルールに従って正直に申告するのが、後のトラブルを防ぐ一番の方法です。

Udioで作った曲もこの手順で仕上げられますか?

手元に正規に入手した音源があれば、FL Studioでの作業手順は同じです。ただし、Udioは2026年10月上旬時点でダウンロードが停止されていると報じられています。使える範囲は、入手時と現在の規約を確認してから判断してください。

まとめ

  • 作業前と配信前に、Suno v6 の最新規約とダウンロード上限を確認する(無料プランの曲は商用不可)。
  • ステムはWAVで書き出し、FL Studioでテンポをそろえてから、削るEQとパートの差し替えでAI特有の音を直す。
  • マスタリングは FL Cloud Mastering・純正プラグイン・Ozone 12 から選び、-14 LUFS とトゥルーピーク -1dB を目安にする。

次に読むなら、EDMのmixのやり方、マスタリングの6手順、個人で曲を配信する方法がおすすめです。AIのデモを土台に、プロのEDMの構成やミックスを参考にしたい人は、完成済みのFL Studioプロジェクトを開いて中身を見るのが近道です。

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