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EDMの作り方 完全ガイドのアイキャッチ画像

EDMってどうやって作るの?

EDMは、PCとDAW(音楽制作ソフト)が1つあれば今日から作り始められます。この記事では、海外レーベルからのリリース経験がある私が、EDMの作り方を「道具をそろえる → DAWを覚える → プロの技術を学ぶ → 曲を量産する → ブランドを作る」の5ステップで、2026年の最新事情に合わせて解説します。

皆さん、はじめまして。EDM Matrixです。あなたがこの記事を読んでいるということは、きっと憧れのアーティストがいて「あんなEDMを自分でも作りたい」「どうすれば彼らのようになれるのか」と考えているのだと思います。この記事は、そんなあなたが最初に読むべき地図として作りました。

この記事でわかること

  • EDM制作に最低限必要なもの(答えはDAWだけ)と、半年〜1年かけて買い足す機材・プラグインの選び方
  • FL Studio 2026を例にした、DAWの初期設定から1曲目を完成させるまでの流れ
  • ドラム・ベース・リード・パッドの音作り、音楽理論、ミックスのプロのコツ
  • 曲を量産する考え方と、Sunoなど生成AIを制作に取り入れるときの注意点
  • 配信・SNS・レーベル契約で、自分の曲を聴いてもらうための方法

この記事は、大きく5つのステップに分かれています。

各ステップには、さらに詳しく解説した個別記事へのリンクを付けています。この記事で全体像をつかみ、必要なところだけ個別記事で深掘りする、という使い方がおすすめです。

※文庫本1冊分くらいの、かなり長い記事です。目次やページ内リンク、画面右下の「ページの先頭に戻るボタン」をうまく活用してください。


筆者プロフィール

世界地図のイメージ画像(筆者プロフィール)

てかお前、誰?

まずはじめに、簡単に私の自己紹介をさせてください。私は日本在住の音楽プロデューサーで、ロサンゼルスのレコード会社と契約して楽曲をリリースしてきました。

私がEDM作りを始めたのは、たまたまYouTubeでMadeon – Cut the Kidを聴いたのがきっかけです。その後は自分でオリジナル曲を作り続け、2017年にロサンゼルスのレコード会社にデモトラックを採用されました。

日本人で海外のレコード会社やプロモーターと契約している人は、まだまだ少ないのが現状だと思います。この記事では、私の持っているEDMの知識と経験を、余すところなく解説しました。ぜひ皆さんも一緒に、これからの日本のEDMシーンを盛り上げていただければ嬉しいです。

はじめに:EDM制作とは何か?

PCで作業するプロデューサーのイメージ

そもそもEDM制作とは?

EDM制作とは、PCの中で「曲を作る(コンテンツ作り)」ことと、それを「聴いてもらう(マーケティング)」ことの2つです。

まずEDMという音楽についてです。EDM(Electronic Dance Music)とは、いわゆる踊るための音楽=クラブミュージックのことです。ただ、近年はジャンルの幅がかなり広がり、ギターやピアノなど生演奏と融合した落ち着いた曲も、EDMに含めるようになってきました。実際には「PCを使って音作りをしている曲」と考えてしまってもいいかもしれません。

今のEDMがどんなものか知りたい方は、Spotifyで人気のEDMプレイリストをいくつか聴いてみましょう。ジャンルごとの特徴やおすすめ曲は、以下の記事でまとめています。

次に、そのEDMを作るプロデューサーが普段何をしているのかを紹介します。私は、プロデューサーの仕事は大きく分けて2つあると考えています。

  1. コンテンツ作り
  2. マーケティング

1つ目のコンテンツ作りとは、まさに曲作り・クリエイティブな制作作業のことです。プロデューサーは自分だけの新しいオリジナル曲を作る必要があります。これが一番大変で、一番楽しい時間です。私たちプロデューサーは、ほとんどの時間をこのコンテンツ作りに使います。

2つ目のマーケティングとは、実際に曲を聴いてもらうための仕事です。せっかく世界に1つしかない素晴らしい曲ができても、家族しか聴いてくれなかったらもったいないですよね。ストリーミングではSpotifyやSoundCloud、SNSではYouTubeやX(旧Twitter)、Instagram、TikTokなどを活用し、自分のブランドを確立していきます。いずれ有名になれば、フェスやライブでDJをできるようになるかもしれません。

ただし、マーケティングに時間を使いすぎてはいけません。一番大事なのは自分のオリジナルのコンテンツです。これは忘れないようにしたいところです。

海外のサイトでも、EDM制作や音楽業界の全体像が詳しくまとめられています。英語に抵抗がなければ、あわせて読んでみてください。

今はインターネットとソフトウェアが発達し、音楽制作に必要な道具や知識はなんでも手に入る時代になりました。楽曲をファンと共有したり宣伝したりすることも、すべて自分でできます。つまり、PCさえ持っていれば、誰でもオリジナルの音楽を作り、世界のファンと共有できるのです。さあ、一緒にEDM作りを始めましょう。

ステップ1:必要なものを揃える

Who even needs a studio? snapchat: itscurbi pic.twitter.com/kRESciU0y9

— CURBI (@CurbiOfficial) 2015年9月5日

実は何も必要なし?

結論から言うと、EDM制作に本当に必要なのはPCとDAW(Digital Audio Workstation)だけです。機材は、DAWに慣れてから半年〜1年かけて少しずつ買い足せば十分です。

EDM制作が何かが分かったところで、早速EDM作りを始めましょう。ただ、ここで疑問が出てくるはずです。「EDM制作でググるとたくさん機材やソフトが出てくるけど、結局何を揃えればいいの?」

ここで、Rubberなどのトラックで有名なCurbiの投稿(上のX/旧Twitter)を見てみましょう。彼はMacBookだけでEDMを作っています。これを見ると「ほとんど何も必要ないんじゃない?」と思われるかもしれません。実はそれは当たっていて、EDM制作に本当に必要なものは

  • DAW(Digital Audio Workstation)

だけなんです。DAWとはEDMを作るPCソフトのことで、作曲・音作り・録音・ミックスまで、すべての作業をここで行います。どれだけDAWを使いこなせるかが、そのままプロデューサーとしての実力になります。ピアニストがピアノを練習し、サッカー選手がボールを蹴るように、プロデューサーはDAWを使いこなす練習をする、といった感じです。

DAWはFL Studio・Ableton Live・Logic Proから選ぶ

EDMの世界で特に人気のDAWは、次の3つです。2026年10月時点の最新版と特徴をまとめました。

DAW最新版(2026年10月)対応OS特徴
FL StudioFL Studio 2026(2026年7月)Windows / Macピアノロールとステップ入力が速い。所有エディションのアップデートは無料
Ableton LiveLive 12(12.4)Windows / Macループを組み合わせる制作やライブ演奏に強い。SuiteはAIステム分離を搭載
Logic ProLogic Pro 12(2026年1月)Mac / iPad付属音源が豊富。Mac版は買い切り

この3つは解説動画が多く、EDM向けのテクニックも豊富に見つかるので、これからDAWを買う方はこの中から選ぶのがおすすめです。ほかにもCubase 15、Bitwig Studio 6、Fender Studio Pro(旧Studio One)などがあり、比較はEDM制作におすすめのDAWで詳しく紹介しています。

EDM Matrixでは、ユーザーが多く、画面がシンプルなFL Studioを使っています。DAWの細かい使い方は、次のステップ2で解説します。

半年〜1年で買い足していく機材・ソフト

ここからは、DAW以外に少しずつ買い足していくことをおすすめするものを紹介します。初心者の段階でいきなり全部買うのは、予算的にも知識的にも厳しいと思います。DAWに慣れてくる半年後くらいには、必要なものが自然と分かってくるはずです。ちなみに私は、1年くらいかけて全部そろえました。

PC本体の選び方はDTMでEDMを作るためのPCの選び方を参考にしてください。もう機材はそろっているという方は、「ステップ2:DAWの使い方を覚える」に進みましょう。

モニターヘッドホン/スピーカー

モニタースピーカーのイメージ

音を正確に聴くための「モニター用」のヘッドホンかスピーカーは、最初に買い足したい機材です。

モニターヘッドホン・モニタースピーカーは、その名の通り音をモニター(正確に把握)するためのものです。普通のリスニング用イヤホンで曲を作ると、低音が強調されて聴こえるため、実際の曲では低音が小さいままだった、ということが起きがちです。低域・中域・高域をバランスよく出してくれるものを選ぶことが大切です。

ただ、私もそうなのですが、大音量や低音が近所迷惑になりそうでスピーカーを使えない方もいるでしょう。その場合はヘッドホンから始めましょう。EDMの制作でよく名前が挙がるモニターヘッドホンは、主に次のモデルです。

スピーカーを置ける環境なら、定番のYamaha HS5や、デスクに置きやすいIK Multimedia iLoud Micro Monitorシリーズ(上位モデルのProは音場補正機能を内蔵)が候補になります。価格はセールで変動するので、販売ページで確認してください。

詳しい選び方とおすすめモデルは、以下の記事で紹介しています。

英語ですが、海外の解説記事も参考になります。

MIDIキーボード/コントローラー

MIDIキーボードは、思いついたメロディやリズムをその場でDAWに入力するための機材です。

MIDIとは「どの鍵盤を、どのくらい強く、どのくらい長く弾いたか」という演奏データのことで、MIDIキーボードはこのデータをDAWに伝えます。上の動画のように使います。「このメロディかっこいい!」と思いついても、マウスでカチカチ打ち込んでいたらアイデアが消えてしまいますよね。ピアノやドラムのように直感的に入力できるのが最大のメリットです。2026年時点で人気のモデルは次の通りです。

鍵盤の数、ドラムパッドの有無、机のスペースで選ぶと失敗しにくいです。旧記事で紹介したMPK Mini MKIIやLaunchkey MK2は販売終了しているので、後継モデルを選びましょう。詳しくはMIDIキーボードの選び方で解説しています。

オーディオインターフェース

オーディオインターフェースのイメージ

オーディオインターフェースは、PCの音をきれいに出し入れするための機材です。録音しないうちは後回しにしても大丈夫です。

簡単にいえば、PCの世界と現実世界をつなぐ役割を担っています。PC上の「デジタル情報」を、ヘッドホンやスピーカーで聴ける「アナログ情報」に変換したり、マイクの音をデジタルに変換したりします。

「PCにもイヤホンジャックがあるのに?」と思った方もいるでしょう。その通りで、PCにもサウンドカードという簡易的なオーディオインターフェースが内蔵されています。ただ、音楽制作には音の遅れ(レイテンシー)やノイズの面で物足りず、マイクや楽器の録音もほぼできません。

とはいえ、予算を抑えたい初心者の方は、最初は買わなくても大丈夫です。音質に不満を感じたり、録音したいと思ったりしたときに買えば十分です。2026年時点で定番のモデルは次の通りです。

詳しくはオーディオインターフェースは必要か?おすすめモデルも紹介を参考にしてください。英語の記事では、EquipboardのTop Audio Interfacesも参考になります。

マイク

マイクのイメージ

自分の声や楽器を曲に入れたい人は、オーディオインターフェースと一緒にマイクを用意します。

EDMでは、イントロやブリッジにギターのリフを使ったり、ドロップでボーカルチョップを使ったり、ボーカルをPadのように背景に敷いたりすることが多いです。自宅録音でよく使われるマイクは次の通りです。

高品質な録音には、部屋の反響対策などのテクニックも必要です。詳しくはマイクの選び方や、EquipboardのBest Condenser Microphones、Sage AudioのChoosing the Best Microphone for Home Studiosを参考にしてください。

プラグイン

プラグインを立ち上げたPC画面のイメージ

プラグインとは「PCの中で使う仮想の楽器やスタジオ機材」のことで、まずはDAWに最初から入っているものだけで十分です。

代表的な規格の名前からVST(ほかにAUやAAXなど)とも呼ばれます。プラグインには、音を鳴らす「Instrument(音源)」と、音を加工する「Effect(エフェクト)」の2種類があります。

Instrumentプラグイン(音源)

Instrumentプラグインは、MIDIキーボードやピアノロールで鳴らす仮想の楽器です。ピアノやギター、オーケストラ楽器のような現実の楽器もあれば、自分だけの音を作れるシンセサイザーもあります。これらでメロディやコードを作り、曲を組み立てていきます。海外のプロデューサーに人気の音源は次の通りです。

・ピアノ(詳しくはおすすめのピアノ音源)

・ギター

・オーケストラ音源(バイオリンやフルートなど)

・シンセサイザー(詳しくはおすすめのシンセサイザー音源)

ただ、初心者のうちにこれを全部買うのは現実的ではありません。まずはDAWに最初から入っている音源で頑張ってみて、「こんな音が欲しい」と作りたいサウンドがはっきりしてから買うのがおすすめです。FL Studioなら、付属のシンセ(Sytrus、3x Osc、FLEXなど)だけでも十分にEDMを作れます。音源の全体像はおすすめのVSTプラグイン【Instrument編】でもまとめています。

英語ですが、以下の記事も参考になります。

Effectプラグイン(エフェクト)

Effectプラグインは、すでにDAW上にある音を調整したり、特殊効果をかけたりするものです。重要なものから順に並べると、次の通りです。

それぞれが何をするエフェクトなのか、海外のプロデューサーの間でどんなプラグインが人気なのかを説明します。全体のまとめはおすすめのVSTプラグイン【Effect編】やFX(エフェクト)の種類と使い方でも紹介しています。

EQ

EQで周波数バランスを整えるイメージ

EQはミックスの要?

EQ(イコライザー)は、高い音と低い音のバランスを整えるエフェクトで、音作りでもミックスでも一番重要なエフェクトです。

たとえば、ボーカルがこもって聴こえるなら300Hzあたりを削る、ベースの存在感が足りなければ倍音が出る帯域を持ち上げる、といった使い方をします。仕組みや具体的な使い方はEQの使い方とおすすめEQプラグインで詳しく解説しています。FL StudioユーザーはParametric EQ 2の使い方もどうぞ。

EDMプロデューサーの間では、基本的にはDAW内蔵のEQが使われています。ただ、1つ大人気の追加プラグインがあり、それが

です。かゆいところに手が届く、素晴らしいEQです。個人的には、特定の周波数だけを取り出して聴ける機能が、ミックスのときに本当に役立っています。最新のPro-Q 4(2024年12月)では、特定の周波数だけに反応する「Spectral Dynamics」も加わりました。ただ、何度も言いますが、DAW内蔵のEQでも十分に仕事をしてくれます。余裕が出てきたら買えば大丈夫です。

コンプレッサー/リミッター/マキシマイザー

音量差を圧縮するイメージ

大小差がない方が聴きやすい

コンプレッサーは、音量の大小差を小さくして、聴きやすく迫力のある音にするエフェクトです。

たとえばボーカルがサビだけ大声で、イントロが小さすぎて聴こえないときに活躍します。大小差が小さくなると全体が聴きやすくなり、音圧(=迫力)も上がります。ごく短い時間の大小差を変えて、KickやSnareのアタック感を調整するのにも使います。

リミッターやマキシマイザーは、コンプレッサーの極端なバージョンです。音量の上限を決めて音圧を限界まで上げられるので、特にマスタリングで活躍します。マルチバンドコンプレッサーは、周波数帯ごとに圧縮の強さを変えられるコンプで、ドラムやマスターに使います。詳しくはコンプレッサーの使い方とおすすめプラグインを参考にしてください。

コンプレッサーは機種によって圧縮のクセが出やすく、好みが分かれます。EDMプロデューサーの間でよく見かける追加プラグインは次の通りです。

・コンプレッサー

・マルチバンドコンプ

・リミッター/マキシマイザー

私はこれらのプラグインを全部持っていて、どれも素晴らしい働きをしてくれます。それでもなぜか、無料のOTTが結局一番好きでよく使っています。どんな音でもOTTを挿すだけで前に出てきて、ミックスの中ではっきり聴こえるようになるんですよね。まだ持っていなければ、ぜひ使ってみてください。FL Studioユーザーなら、付属のFruity LimiterやMaximusも十分に使えます。

サチュレーション/ディストーション

Why have I never used distortion..

— Audien (@Audien) September 5, 2011

超大物になる前夜

ディストーション(サチュレーション)は、音を少しだけ歪ませて、プロっぽい太さと温かさを足すエフェクトです。

上は、Audienが一躍有名になった曲「Wayfarer」のリリース直前の本人の投稿です。Wayfarerは特にベースがクリスピーで迫力があり、非常に質の高いサウンドです。それより前のリリース「Eleven Eleven」と聴き比べると、違いがよく分かります。ディストーションは、初心者がなかなか気づかない「プロっぽい音になるかどうかの分かれ目」になりやすいエフェクトなのでしょう。

ディストーションは、音を歪ませて「壊して汚くする」プラグインです。それだけ聞くと使うべきでないように感じますが、ポイントは「少しだけ使う」ことです。少しだけ音を汚すと、人間の耳には自然で「温かい、アナログな音」に聴こえるようになります。ぜひ自分でいろいろな設定を試して、実感してみてください。プロデューサーの間でよく見かけるプラグインは次の通りです。

個人的には、SaturnかDecapitatorが一番万能で、どんなタイプの歪みもこなしてくれる印象です。そのほかは一気に音の印象を変えてくれるので、RiddimやNeuro系を作るプロデューサーには欠かせないと思います。もう一度言いますが、"Keep it subtle.(少しだけにとどめる)"。これがディストーションでは重要です。

リバーブ

リバーブで空間の広さを表現するイメージ

空間の広さはどのくらい?

リバーブは「反響効果」で、音が鳴っている空間の広さを表現するエフェクトです。

普段私たちが聴く音は、いきなりプツっと切れることはありません。必ず壁や床に反射して、少し「フェードアウトする尻尾」がつきます。もしスネアにまったくリバーブをかけないと、人間は「このスネアはどこで鳴っているんだ?」と不自然に感じます。使い方のコツはリバーブの使い方とおすすめプラグイン、FL Studio付属のリバーブはFruity Reeverb 2の使い方で解説しています。

リバーブプラグインはたくさんありますが、EDMプロデューサーの間ではValhalla DSP社のものがよく使われています。

私が今まで見てきたプロデューサーは、ほとんどの人がValhallaを使っていました。私も使っていますが、本当に質が高いです。なので例外として、リバーブだけはお金を出しても手元に置いておく価値があると思います。まずは無料のSupermassiveから試してみてください。

ディレイ

ディレイ(やまびこ効果)のイメージ

Delay=やまびこ効果

ディレイは山びこのような効果を作るエフェクトで、EDMでは空間表現よりも、グルーブを増やしたり隙間を埋めたりするために使います。

山の頂上で叫ぶ「ヤッホー!…ヤッホー!…(だんだん小さくなる)」というやつです。たとえばRameses B – We Loveでは、ボーカルやPluckなどにピンポイントでディレイをかけることで、よりグルーブのあるトラックになっています。

ディレイは機能自体は分かりやすいのですが、適当に使いすぎるとミックスがごちゃごちゃになりやすいという欠点があります。詳しくはディレイの使い方とおすすめプラグインやFruity Delay 3の使い方を参考にしてください。

エフェクトの性質上、ディレイはプラグインによる違いがあまりありません。なのでプロデューサーは基本的にDAW内蔵のディレイを使うことが多いです。ただ、アナログ感を足してくれる

を好んで使う人もいます。興味があれば試してみてください。

サイドチェーン

サイドチェーンで波形が揺れるイメージ

EDMといえば、このエフェクト

サイドチェーンは「キックが鳴った瞬間だけ、ほかの楽器の音量を下げる」テクニックで、EDMには欠かせません。

ほとんどのEDMで使われていますが、分かりやすいのはIllenium – Fortressです。キックが鳴るたびに、ほかのシンセの音がふっと引っ込んでいます。キックがはっきり聴こえるようになり、グルーブ感も出るのがメリットです。ただし、かけすぎると聴きづらくなるので注意しましょう。

サイドチェーンのやり方は、簡単なものから順に

  1. 専用のプラグインを使う
  2. ボリュームのオートメーションを書く
  3. コンプレッサーのサイドチェーン機能を使う

などがあります。詳しいやり方はサイドチェーンとは?具体的なやり方3つで解説しています。ここで紹介するのは1つ目の専用プラグインです。ミキサーに挿すだけで、BPMに合わせて拍の頭だけ音量が下がるので、手軽にサイドチェーンができます。人気なのは次の3つです。

Kickstartは、Nicky Romeroと共同開発されたプラグインで、挿すだけでポンピングがかかるので非常に簡単です。LFO ToolやVolumeShaperは細かい調整ができ、柔軟性があります。ちなみにFL Studioに付属のGross BeatやPeak Controllerでも同じことができます。

ステレオイメージ

ヘッドホンで聴くステレオ感のイメージ

頭の周りを駆け巡る音

ステレオイメージ系のプラグインは、音の左右の広がりをコントロールするエフェクトです。

プロの曲をヘッドホンで聴いて「なんでこんなに音が広いんだ?」と思ったことはありませんか?たとえばwhysp x underscores – regretful(イヤホン推奨)は、素晴らしいステレオイメージを持っています。こうした広がりは、単純にPanを振るだけでは作れません。左右でごくわずかに音をずらす「Haas Effect(ハース効果)」などを使っています。プロデューサーがよく使うのは次のプラグインです。

FL Studioなら、付属のStereo Shaper、Stereo Enhancer、Panomaticでもかなりのことができます。詳しくはステレオイメージの広げ方を参考にしてください。

アナライザー

アナライザーで周波数を確認するイメージ

百聞は一見に如かず?

アナライザーは、周波数のバランスやステレオの広がりを「目で見て」確認するためのプラグインです。

ここからは必須ではないものの、使えると確実に便利なプラグインです。普段は耳で判断しているバランスを目で確認できるので、自分のミックスを客観的に見られるようになります。多くのプロデューサーが使っているのは

です。有料のWaves PAZ AnalyzerやiZotope Insightもありますが、個人的にはSPANで十分だと感じています。FL Studio付属のWave Candyも便利です。使い方はアナライザーの使い方とおすすめプラグインで解説しています。

ピッチ補正

ボーカルのピッチ補正のイメージ

いわゆる、ケロケロボイス

ピッチ補正は、音の高さを曲のキーに合うように調整するエフェクトです。

「オートチューン」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。ボーカルの音程補正はもちろん、ドラムや楽器のサンプルを曲のキーに合わせたいときにも使えます。ラッパーがあえて強くかけて、ケロケロした効果をアクセントにすることもよくあります。定番は次の2つです。

ボーカルをよく使う人は持っておくと便利です。FL Studioなら付属のPitcher(上位エディションならNewToneも)で同じようなことができます。

トランジェント補正

音の立ち上がりと余韻を調整するイメージ

アタック&リリース

トランジェント補正は「音の始まり(アタック)と終わり(リリース)の強さ」を調整するエフェクトです。

たとえば、キックをもっと短くタイトにしたいときはリリースを弱めます。アタックが弱くて埋もれる音は、アタックを強めます。ドラムなど短い音の長さや、出だしの音量を細かく整えるのに便利です。よく使われるのは

です。FL Studioには付属のTransient Processorがあり、FL Studio 2026ではトランジェントとサステインを分離して処理できる新プラグイン「Transmitter」も追加されました。まずは付属のものから試してみましょう。

モジュレーション

モジュレーション系エフェクトで音作りを楽しむイメージ

音作りを楽しもう

モジュレーション系は、ミックスのためではなく、音を面白くするための特殊エフェクトです。

代表的なのはコーラス、フランジャー、ボコーダーなどです。Chorus(コーラス)は音をカラフルかつワイドにしてくれるので、Padによく使われます。Flanger(フランジャー)は音をうねらせるエフェクトで、Madeon – Cut The KidのイントロのPadのように、少しファンキーで近未来的な印象になります。Vocoder(ボコーダー)はDaft Punkでおなじみの、いわゆる「ロボットボイス」です。Zedd – Done With Loveのイントロで聴けます。

これらはどのDAWにも十分な機能のプラグインが入っているので、追加で買う必要はないと思います。音作りの幅が広がるので、覚えておくと良いでしょう。

(追加用)サンプルパック

サンプルパックのイメージ

曲の雰囲気を決める重要な要素!

サンプルパックは、ドラムやボーカル、効果音などの「完成したオーディオ素材」の詰め合わせで、曲の雰囲気を大きく左右します。

LeadやBassの音はシンセで作れますが、生のドラムやボーカルを自分で用意するのは大変です。そこでドラムやボーカル、効果音などは、完成したオーディオとして使います。DAW付属のサンプルだけではバリエーションが少ないので、慣れてきたら追加のサンプルパックが必要になるはずです。

サンプルの入手方法は、ここ数年で大きく変わりました。代表的なのがSpliceです。以前は1つずつサンプルパックを探し回って買い集める必要がありましたが、Spliceなら月額のクレジット制で、さまざまなメーカーのサンプルを1音ずつ試聴・ダウンロードできます。私はSpliceを使い始めてから海外のレコード会社と契約できたので、これからEDM作りを始める人にもおすすめです。サンプル集めのストレスがかなり減ります。

ほかにも、ポイント制のLoopcloudや、FL Studioユーザーなら有料プランで大量のサンプルが使えるFL Cloudなどの選択肢があります。料金やプランは変わることがあるので、各公式サイトで確認してください。

また、Cymaticsのように、Spliceに載っていない高品質なサンプルパックもあります。以下の記事も参考に、自分なりのコレクションを作ってみてください。EDMの定番サウンドをまとめて手元に置きたい方には、EDM MatrixのEDM Starter Kit Vol.1もあります。

以上で、EDMを作るのに必要なものはすべて紹介しました。ここからは、実際に手を動かして曲作りを始めましょう。まずは曲作りのコックピットであるDAWの初期設定と使い方です。

ステップ2:DAWの使い方を覚える

DAWを立ち上げた作業画面のイメージ

全ての作業を行う場所, DAW

DAWの使い方は「初期設定 → 3種類のクリップを並べる → ミキサーで整える」の流れさえ覚えれば、すぐに1曲作れます。ここではFL Studioを例に解説します。

EDM Matrixでは、初めての方にはFL Studioを一番おすすめしています。ユーザーが多く情報を探しやすいこと、画面がシンプルなことが、初心者にとって大きなメリットだと考えているからです。また、一度買えば所有エディションのアップデートはずっと無料です。

最新版のFL Studio 2026(2026年7月公開)では、シンセのFLEXが全面刷新され、保存のたびにFL Cloudへ自動バックアップする「Project Backup」や、トランジェント処理の新プラグイン「Transmitter」が加わりました。AIアシスタント「Gopher」に、チャットでプロジェクト内の操作を頼むこともできます。

エディションはFruity / Producer / Signature Bundle / All Plugins Editionの4つです。Fruityはプレイリストでオーディオを扱う機能が限られるので、ボーカルやサンプルを多用するEDMならProducer Edition以上がおすすめです。まだ購入していない方は、以下の記事を参考にしてください。

ここからの解説は、大きく3つのパートに分かれています。

※記事内のスクリーンショットは旧バージョンのFL Studioのものです。最新版とは見た目や項目名が少し違う場合がありますが、設定の考え方は同じです。

パート1:基本設定

FL Studioの設定画面のイメージ

必要最小限の設定だけ!

FL Studioをインストールしたら、曲作りに入る前に最低限の設定をしておきましょう。設定するのは次の4つです。

  • オーディオ設定
  • MIDI設定
  • ファイル設定
  • 書き出し設定

設定が終わっている方は、「パート2:曲作りの流れ」に進みましょう。

オーディオ設定

オーディオ設定は、どのヘッドホンやスピーカーから音を出すか、PCがどれだけ効率よく音を処理するかを決める設定です。まずは画面左上の「OPTIONS」メニューを開きます。

FL Studioのメニューバーで OPTIONS を選ぶ画面

次に「Audio settings」を開くと、以下のような画面が出てきます(画像はWindowsの場合)。

FL Studioのオーディオ設定画面(Windows・ASIO)

ここで設定しておくべきことは次の通りです。

  • Input/Output(Device):Windowsは「FL Studio ASIO」、Macは内蔵出力を選びます。オーディオインターフェースを持っている方は、そのデバイス(Windowsなら専用のASIOドライバー)を選びます。
  • Sample rate:44,100Hzか48,000Hzを選びます。迷ったら44,100Hzで大丈夫です。
  • CPU関連:マルチコアCPUのPCなら、マルチスレッド処理の項目を有効にします。CPUを節約するため「Smart disable」もオンにしておきましょう(項目名はバージョンによって少し異なります)。

次に「Show ASIO panel」からASIOパネルを開くと、以下のような画面が出てきます。

FL Studio ASIOのバッファサイズ設定画面

ここではBuffer Size(バッファサイズ)を、できるだけ小さい数字にしておきます。制作中にプチプチとノイズが聴こえたら、改善するまで少しずつ値を大きくしてください。小さいほど鍵盤を弾いてから音が出るまでの遅れが減り、大きいほど処理が安定します。

MIDI設定

次は、MIDIキーボードなどを接続するためのMIDI設定です。同じくOPTIONSメニューから「MIDI settings」を開きます。

FL StudioのMIDI設定画面

実は、ここで設定することはほとんどありません。最近のMIDIキーボードは、USBでつなぐだけでFL Studioが自動的に認識してくれるからです。認識されない場合は、Input欄で自分のキーボードを選んで「Enable」をオンにしましょう。

1つだけ覚えておきたいのが「Velocity curve(ベロシティカーブ)」です。これは「どれだけ強く鍵盤を叩いたか」というMIDI情報の感度を変える設定です。鍵盤の反応が良すぎる、または悪すぎると感じたら、カーブの傾きを調整してみてください。

ファイル設定

次に、プラグインやサンプルパックを読み込むためのファイル設定をします。OPTIONSメニューから「File settings」を開くと、以下のような画面が出てきます。

FL Studioのファイル設定画面

ここでする設定は2つです。

①プラグインの読み込み:自分で購入したプラグインをFL Studioに読み込みます。現在のバージョンでは「Manage plugins」画面でインストール先のフォルダーを指定し、「Find plugins」でスキャンすればOKです。

スキャンが終わると、以下の画像のようにブラウザーの「Plugin database」からプラグインを選べるようになります。

FL Studioブラウザーのプラグインデータベース

②Browser extra search folders:よく使うフォルダーを登録しておきます。たとえば購入したサンプルパックのフォルダーを登録すると、以下の画像のようにFL Studioのブラウザーから直接呼び出せるようになります。

FL Studioのブラウザーに追加したサンプルフォルダー

あわせて、プロジェクトの自動保存(バックアップ)が有効になっているかも確認しておきましょう。FL Studio 2026では、保存のたびにFL Cloudへバックアップする「Project Backup」も使えます。作業中のPCトラブルで曲が消えるのは、本当に悲しいので…。

書き出し設定

最後に、完成した曲をオーディオファイルとして保存するときの書き出し設定を確認しておきます。ここはマスタリング(ステップ3)や配信(ステップ5)とも関わる大事なところなので、あえて最初に説明しておきます。

結論から言うと、制作中は24bit(または32bit float)以上・44.1kHz以上のWAVで作業し、最終的な書き出し形式は配信先の指定に合わせるのが基本です。

多くの配信代行サービス(ディストリビューター)は、16bit/44.1kHz以上のWAVを受け付けています。24bitのハイレゾ音源を受け付けるところも増えています。細かい条件はサービスごとに違うので、提出前に必ず確認してください。参考として、Pro Audio Filesには配信先ごとのフォーマットの考え方がまとまっています(少し古い記事です)。

  • ビット深度:24bit以上(作業中のファイルや書き出したステム)
  • サンプルレート:44,100Hz以上
  • ファイル形式:WAV

16bitやMP3で作業してしまうと、失われた情報は二度と元に戻りません。MP3はあくまで試聴用と考えてください。

実際に設定してみましょう。下の画像のように、画面左上の「FILE」メニューから「Export」を選びます。

FL StudioのFILEメニューからExportを選ぶ画面

すると以下のようなウィンドウが出てきます。

FL Studioの書き出し(Export)設定画面

上の画面のように、WAVを選んでビット深度を24bit以上に設定しておきます(設定画面はIn The Mixより)。

一番初めにしておくべき設定は以上です。私が考える必要最低限の初期設定は、たったこれだけです。ほかの設定を知りたい方は、FL Studioのオンラインマニュアルも参照してください。ここからは、いよいよ曲作りの中身に入ります。

パート2:曲作りの流れ

曲作りの手順を確認するチェックリストのイメージ

たった2つの手順だけ!

FL Studioでの曲作りは、次のたった2つの手順でできています。

  1. 3種類のクリップをプレイリストに並べる
  2. ミキサーで音量や音質を整える

曲作りは難しそうと感じている方もいるかもしれませんが、安心してください。3種類のクリップとは、

  1. オーディオクリップ
  2. MIDIクリップ(パターン)
  3. オートメーションクリップ

の3つです。順番に説明します。

オーディオクリップ

オーディオクリップとは、WAVなどの音声データのことです。サンプルパックに入っているドラムやボーカル、FXなどがこれにあたります。以下の画面のように、ファイルをドラッグ&ドロップするだけでプレイリストに貼り付けられます。

プレイリストに貼り付けたオーディオクリップ

オーディオクリップの扱い方は3種類あります。1つ目は長さの伸縮です。まず、以下の画面のようにプレイリスト左上をAudioモードにします。

プレイリストのAudioモード切り替え

そして「STRETCH」を選びます。すると、クリップの端をドラッグするだけで、ピッチを変えずに長さを変えられます。サンプルを見た目でBPMに合わせたいときに便利です。

2つ目は細かいサンプルの調整です。オーディオクリップをダブルクリックすると、以下のような「サンプラー画面」が出てきます。

オーディオクリップのサンプラー(チャンネル設定)画面

ここで大事な設定は、

  • PITCH:音の高さを変えます。サンプルを曲のキーに合わせるときに重要です。
  • Reverse:音を逆再生します。ClapやReverbのテイルを逆再生して、ライザーを作るのに使います(詳しくはReverse機能の使い方)。
  • IN / OUT:音の出だしと終わりをフェードイン・フェードアウトさせます。不要な部分をカットするのに使います。
  • Detect tempo:波形を右クリックすると出てきます。ループ素材のBPMを検出でき、曲の分析にも使えます。

どれもサンプルを活用するのに欠かせない機能です。

3つ目は、オーディオクリップ左上の波形マークを押すと出てくるClip Menuです。

オーディオクリップのClip Menu

ここで大事な機能は次の3つです。

  • Make unique:同じ素材から別のバリエーションを作りたいときに使います。
  • Fit to tempo:曲のBPMとサンプルのBPMを自動で合わせてくれる、非常に便利な機能です。
  • Automate:PanとVolumeのオートメーションクリップを作ってくれます。

EDM制作は音を扱うアートなので、オーディオクリップ関連はしっかり押さえておきましょう。具体例はオーディオクリップの使い方3パターン、波形編集はEdisonの使い方、ボーカルチョップはSliceXの使い方で解説しています。公式のマニュアルも参考にしてください。

MIDIクリップ

MIDIクリップは、FL Studioではパターン(パターンクリップ)と呼ばれます。ステップ1で紹介したInstrumentプラグインを、楽器として鳴らすためのデータです。

プレイリストに並べたパターンクリップ

FL Studioでは、次の2つの方法でMIDIクリップを作れます。

  1. ピアノロール
  2. ステップシーケンサー

ピアノロール

ピアノロールは、メロディやコードを打ち込むための画面です。チャンネルを右クリックして「Piano roll」を選ぶか、上部のピアノマークのボタンを押すと、以下のようなウィンドウが出てきます。

FL Studioのピアノロール画面

FL Studioのピアノロールは、説明がいらないほど使いやすいです。しばらく適当に触って、仕組みを体感してください。最近のバージョンでは、スケールのガイド表示やコード進行の入力支援も充実しています。詳しくはピアノロールとは?や公式のマニュアルを参考にしてください。コードとメロディの作り方は、ステップ3の音楽理論で解説します。

ステップシーケンサー

ステップシーケンサーは、ドラムのリズムを素早く打ち込むための機能です。チャンネルラックを開くと、以下のようなウィンドウが出てきます。

FL Studioのチャンネルラック(ステップシーケンサー)

ドラムマシンのように1マスごとにオン・オフを切り替えるだけで、自由にリズムを打ち込めます。詳しくはステップシーケンサーとは?と公式のマニュアルを参考にしてください。

ここまで見てきたように、曲の中のすべての音は、オーディオクリップかMIDIクリップのどちらかから鳴っています。最後に、オートメーションクリップを説明します。

オートメーションクリップ

オートメーションとは、音量やフィルターなどの「値」を、時間に合わせて自動的に動かす機能です。たとえば、サビの前に徐々に音量を上げて盛り上げたいときは、ボリュームフェーダーのオートメーションクリップを作ります。

動かしたいノブやフェーダーを右クリックして「Create automation clip」を選びます。出てこない場合は、そのノブを最後に触ったあと、画面左上の「TOOLS → Last tweaked → Create automation clip」を選びます。すると、以下のようなクリップが出てきます。

プレイリスト上のオートメーションクリップ編集画面

あとは、ノブを動かしたいようにグラフを描くだけです。右クリックで点を追加しながら描いていきます。詳しくはオートメーションとは?と公式のマニュアルを参考にしてください。

ミキサー

ミキサーは、各クリップから出てくる音の音量を整えたり、エフェクトをかけたりする場所です。

チャンネルラックとミキサーのつなぎ方

チャンネルをミキサーにつなぐには、上の画像のように、チャンネルラック左側の数字(またはチャンネル設定の右上の数字)を、つなぎたいミキサートラックの番号に合わせます。

ステップ1で紹介したエフェクトを使いたいときは、ミキサー右側のスロットをクリックするか、プラグインを直接スロットにドラッグ&ドロップします。詳しくは公式のマニュアルを参考にしてください。実際のミックスのやり方は「ステップ3:ミックスのやり方」で解説しています。

以上で、曲作りの流れの説明は終わりです。流れ自体はかなりシンプルだと分かっていただけたでしょうか。ここからは、あなたの記念すべき1曲目を作っていきましょう。

パート3:まずは1曲作ってみよう


市販の曲を分析してみよう!

1曲目を作る一番の近道は、好きな曲を分析して「いつ、何が鳴っているか」をまねすることです。

道具はそろい、DAWの基本も分かりました。ただ、いきなり「作れ」と言われても困りますよね。そこで、上の動画のLaidback Lukeのように、好きな曲をDAWに貼り付けてみましょう(曲は正規に購入したものを使います)。「16秒まではベースとキックだけ鳴っているな」「40秒あたりからスネアが鳴り始めるな」というように、曲の要素を自分なりにメモしていきます。すると、だんだん自分が好きなEDMの「型」が見えてきて、「いつ、何を鳴らせばいいのか」が分かってきます。

基本的なEDMの楽曲構造

リファレンス曲を分析したEDMの楽曲構造

EDMの4つの要素

分析を続けていくと、EDMの構造のパターンが見えてくるはずです。基本的にEDMは、次の4つの要素でできています。

パート役割よく使う要素
Intro曲の入口。DJがつなぎやすいようシンプルにドラムとベースのループ、静かなピアノのコード
Breakdownメロディを聴かせて期待を高めるDowner系FX、Vocal / Lead / Pad / Arp / Pluck / Guitar
Build Upドロップに向けて盛り上がりを作るRiserなどのFX、スネアロール、フィルターのオートメーション
Drop一番盛り上がるサビLead / Bassを大音量で

これをスタートポイントに、自分でMIDIクリップやオーディオクリップを作っていきましょう。各パートの作り方は、アレンジメント講座のイントロの作り方・ビルドアップの作り方・ドロップの作り方で詳しく解説しています。

適切なサンプルとプリセットを選ぶ

何を鳴らせばいいか分かったら、Spliceなどのサンプルサービスで音を探します。以下の画像のように、ドラムやFX(効果音)はジャンル名で、シンセのプリセットは楽器名で検索して、イメージに合う音を探し出します。

Spliceでドラムやエフェクトのサンプルを検索する画面

↑ドラムやFXのサンプルを検索

Spliceでシンセのプリセットを検索する画面

↑シンセのプリセットを検索

※画面は2018年当時のものです。現在のSpliceはデザインが変わっていますが、ジャンル名や楽器名で検索する流れは同じです。

FL Studio 2025以降なら、ジャンルを選ぶだけでループの組み合わせを提案してくれる「Loop Starter」を使うのも手です。何もない画面から始めるより、ずっと気軽に手を動かせます。

お目当ての音が見つかったら、オーディオクリップやMIDIクリップを作ってプレイリストに並べ、ミックスをすれば完成です。

他人のプロジェクトを分析

「やっぱり自分で音を作るのは難しい」と思った方は、最終奥義として、他人の「プロジェクトファイル」を分析しましょう。Cymaticsでは無料のFLPファイルを紹介しているので、それを自分のFL Studioで開き、以下のように曲の構造を分析してみてください。

他人のFL Studioプロジェクト(FLP)を開いて分析する画面

↑他人のFLPを分析!

無料のFLPの曲の質は、お世辞にも高いとは言えないものもあります。それでも「ここでベースとコードを鳴らすのか」「こうやってオートメーションを使うのか」など、初心者には発見がたくさんあるはずです。

FL Studio Template Pro

何から触ればいいか迷ったら、完成形のプロジェクトを開いて分解するのが一番の近道です。EDM Matrixでは、ミックスとマスタリングのチェーンまで設定済みのFL Studio用テンプレートも用意しています。

この記事の手順は FL Studio Template Pro に設定済みです。 詳細を見る →

ここまで読み進めたあなたなら、何かしらの曲は自分の力で作れるはずです。ぜひ1曲だけでもいいので、オリジナル曲を完成させてから次のステップへ進んでください。次のステップでは、その曲をより「プロっぽい」音にするための、細かいテクニックと知識を紹介します。

ステップ3:プロのテクニックを覚える

プロの制作テクニックを学ぶイメージ

プロの技術を身につけよう!

プロっぽい音にするために覚えるべきことは、「音作り」「音楽理論」「ミックス(とマスタリング)」の3つです。

ここまでついてきたあなたは、もう自分の力で成長していけるはずです。ただ、曲のクオリティを上げる方法は、知識として知っていたほうが早いことも多いです。興味のあるところから読んでみてください。

音作りのコツ

サンプルやプリセットをそのまま使うだけでは、プロっぽい音にはなりません。楽器ごとに、初心者を脱却するポイントを解説します。

Drums / Beat / Groove

ドラムのイメージ

EDMの心臓部!

ドラムはEDMの心臓部で、パンチとグルーブのあるドラムを作るコツは全部で11個あります。

人が踊りたくなるのは、ドラムが刻むビートのおかげです。曲の中で一番鳴る回数が多いKickもドラムの一部です。この後の「ドラムのミックス方法」もあわせて参考にしてください。11個のコツはドラムの音作りのコツ11選でさらに詳しく解説しています。KickとSnareはKickの音作りのコツ・Snareの音作りのコツもどうぞ。

①高品質なサンプルを使う

ドラムを組む前に、サンプルの質を確認しましょう。ドラムの音の8割はここで決まると私は考えています。高品質といっても、有料である必要はありません。無料でも、そのジャンルに合った音のWAVファイルなら問題ありません。SpliceやCymaticsなどで、自分のイメージに近い音を10個以上は探しておきます。そして曲を作りながら入れ替えて、ベストなサンプルを探します。サンプルパックの情報は有料サンプルパック集・無料サンプルパック集を参考にしてください。

②ピッチを合わせる

次に、ドラムのピッチ(音程)を曲に合わせます。後の音楽理論で詳しく説明しますが、どんな曲にも大抵「キー」があります。キーにない音が鳴ると、人間は「外れた」と感じます。特にスネアやタムでは目立ちやすいので、そこだけでも曲のキーのルート音か5度の音に合わせておきましょう。できればKickやHatも合わせるのが理想です。上の動画では、DYROがドラムをチューニングする方法を詳しく解説しています。

③Hatはヒューマナイズする

グリッドにぴったり打ち込んだ単調なハイハット

↑退屈なHihat…

初心者が本当にやってしまいがちなのが、上の図のようにハイハットをグリッドぴったりに打ち込んで終わりにすることです。現実のドラムは人間が叩くので、少し後ろにずれたり、音量が変わったりするはずです。

タイミングとベロシティをずらしてヒューマナイズしたハイハット

↑ヒューマナイズされたHihat!

なので、ハイハットは上の図のように、ほんの少しだけ後ろにずらし、Velocity(音の強さ)にも変化をつけます。これをヒューマナイズと言います。Lo-fi Hip Hopなどジャンルによっては、もっと大きくずらしたほうが良い場合もあるので、自分で心地よいポイントを探ってください。

④Pre-Shifted Clapを使う

2つの山がある Pre-Shifted Clap の波形

↑Pre-Shifted Clapの例

より自然でグルーブ感のあるClapを作るには、普通のClapの直前に「Pre-Shifted Clap」を重ねるのがポイントです。Pre-Shifted Clapは、上の図のように「2つ山がある波形」をしています。これをレイヤーするだけで、ミックスの中でClapがぐっと聴きやすくなります。

⑤Snareはレイヤーで厚みを出す

KSHMRの解説(0:50〜)

スネアもClapと同じように、2つ以上の音を重ねることが大切です。上のKSHMRの動画では、普通のスネアに、リバーブのテイルとホワイトノイズの高音域を足しています。ほかにも、Trapで使うスナッピーなスネアとDubstepで使う低音の太いスネアを混ぜたり、Pre-Shifted Snareを重ねたりしても面白い結果が得られます。ノイズの活用法はノイズを使って音質を上げる方法も参考にしてください。

⑥パーカッションは左右に広げる

ミックスの基本ですが、パーカッション系は少しだけPanを左右に振りましょう。今はほとんどの人がヘッドホンやスピーカーのステレオ環境で聴いているので、サブ的な要素を左右に振ると、リスナーはドラム全体を把握しやすくなります。ただし、パンチが必要なKickやSnareは中央のままにしておきましょう。

FL Studio Stereo ShaperのDelay設定

↑DELAYを少しずらすと…?

FL Studioユーザーは、パーカッションにStereo Shaperを挿し、Delayを左右どちらかに少しだけずらしてみましょう。普通だった音が、急に左右から包み込むように聴こえるはずです。Panを振る以上の効果が得られます。Stereo ShaperはMid/Side処理にも使える優秀なプラグインなので、Stereo Shaperの使い方でさらに極めてみてください。

⑦トランジェントプロセッサーで調整する

トランジェントプロセッサーでアタックを強くリリースを弱くした設定

↑アタックを強く、リリースを弱く設定

ステップ1で紹介したトランジェントプロセッサーは「音の始まりと終わりを調整する」エフェクトでした。上の図では、Kickのアタックを強め、リリースを弱くしています。下の波形の赤い線が音量を表していて、音の始まりが強調され、終わりが短くなっているのが分かります。サンプルがBPMに合っていない、パンチや迫力が足りないと感じたら、トランジェントプロセッサーで解決できるかもしれません。

⑧グルーコンプレッサーでまとめる

Cytomic The Glue の画面

Cytomic – The Glue

グルーコンプレッサーとは、「バラバラの音をまとめて1つにする」ためのコンプレッサーです。ドラムのバスやマスターによく使います。いろいろなサンプルを使っていると、ドラムに統一感がないと感じることがあります。そんなときは、全体のトランジェントや質感を揃えて1つのループにしてくれるグルーコンプを使いましょう。

⑨EQ・エキサイター・サチュレーションで高域を足す

どんな音でも、最初は高域が足りていないことが多いです。高域が足りないと「こもった音」「処理しきれていない音」という印象を与えがちです。まずはEQで4,000Hz以上を1〜6dBほどブーストしてみましょう。それでも耳が痛くなるだけで解決しないなら、倍音を増やしてくれるエキサイターやサチュレーションを使います。ミックス全体と合わせて聴きながら、ベストな量を探しましょう。

⑩パラレルコンプレッションでパンチを作る

Big Zの解説(4:09〜)

グルーコンプよりさらに上級のテクニックが、パラレルコンプレッションです。上の動画でBig Zが解説しているように、「激しくコンプをかけた音」を「コンプをかける前の音」に少しだけ混ぜます。普通の弱いコンプでは得られない強いパンチ感を「少しだけ」ブレンドすることで、ドラムの存在感がかなり上がります。昔からエンジニアの間で使われてきた技で、効果が大きいのでおすすめです。

⑪リバーブを少しだけかける

Nigel Goodの解説(4:01〜)

リバーブはボーカルやリードにかけるもので、ドラムにはかけるべきでないと思っている方もいるかもしれません。実は、ドラムにも「少しだけ」「小さい空間で」リバーブをかけると、サウンドのクオリティが上がることがあります。上の動画では、Nigel Goodがドラムに狭いリバーブをかけて、すべてのドラムが同じ部屋で鳴っているように聴かせるテクニックを実演しています。

Bass

ベースのイメージ

曲の土台を作る!

ベースはKickと一緒に低音でグルーブを作る、曲の土台です。コツは全部で6つあります。

低音の中で唯一「メロディ」にもなりうるので、音楽理論とも関わる要素です。詳しくはベースの作り方のコツ6選で解説しています。

①サンプル選びとレイヤー

Big Zの解説

ほかの楽器にも共通しますが、1つのプリセットだけでベースを作らないことが重要です。ベースは最低でも3つのレイヤーで作るとプロの音に近づきます。

  • Low Bass:110Hz〜500Hzくらいの、ベースの基準になるレイヤー
  • High Bass:500Hz以上の高い成分やアタック感を含む、個性を出すレイヤー
  • Sub Bass:主に110Hz以下の、体で感じる超低音。シンプルなサイン波で作る

まずはいろいろなプリセットを試聴し、イメージに合うものを組み合わせます。EQやグルーコンプで整えながら、自分だけのベースレイヤーを作りましょう。

②ベースラインを面白くする


Hack Music Theoryの解説

ベースは音楽理論的には「ルート音」を鳴らすことが多いです。たとえばコードがCメジャーならCを鳴らす、といった具合です。ただ、ルート音だけだと退屈になりがちなので、次の技を試してみましょう。

  • リズムを変える:3連符を使う、伸ばす長さを変えるなど
  • オクターブを上下させる:一瞬だけオクターブを上げ下げする。Trapの808では小節の終わりによく上がります
  • ルート音以外を使う:コードの構成音をベースで鳴らす(スラッシュコード)と、新しい雰囲気になります
  • ピッチスライド:ピッチのオートメーションで音の高さをなめらかに変え、さらにグルーブを作ります

どれも必ず使うべき技ではないので、曲に合わせて試してみてください。

③ハイパスフィルターをかける

Sub以外のベースの110Hz以下をカットするEQ設定

↑Sub以外は110Hz以下をカット!

「ベースは低音の楽器だから」と、ハイパスフィルターをまったくかけない人がいます。ですが、

  • Sub Bass:20Hz前後
  • Sub以外のBass:110Hz前後

を目安にハイパスをかけると、不要な低音がなくなり、メインの音が聴こえやすくなって、全体の音圧も上げやすくなります。ぜひ習慣にしてください。

④OTTを薄くかける

OTTの設定画面(Depthを控えめに)

↑かけすぎないのがコツ!

EDMのベースとOTTの相性は抜群です。ベースで抜けがちな高域や、音の余韻を一気に持ち上げてくれます。ただ、100%でかけると音が異常に圧縮されるので、15〜50%くらいに控えめにかける人が多いです。無料なので、まだ持っていない方はぜひエフェクトチェーンに入れてみてください。ちなみにSerumやAbleton Liveには、OTTのようなマルチバンドコンプが内蔵されています。

⑤少しリバーブをかける

ドラムと同じく、ベースにもリバーブを少しかけると自然に聴こえます。まったく反響しない音は、現実には存在しないからです。Decay Time(残響時間)を1秒以内と短めにして、リバーブにもハイパスフィルターをかけ、低音が濁らないようにしましょう。

⑥Kickとのミックス(サイドチェーン)

↑サイドチェーンの3つのメソッド

低音の多いKickとベースを同時に鳴らすと、音量が上限を超えて歪む「クリッピング」が起きやすくなります。そこで使うのがサイドチェーンです。キックが鳴っている瞬間だけベースを下げるので、クリッピングしにくくなり、グルーブ感も増します。EDMでは基本中の基本のテクニックです。上の動画では、FL Studioでできる方法がすべて紹介されています。

Lead

リードサウンドのイメージ

メロディを作る

Leadは曲を先導するメロディの音で、ボーカルの代わりになるくらい個性的な音作りが必要です。コツは4つです。詳しくはリードの作り方のコツ4選で解説しています。

①サンプル選びとレイヤー

Big Zの解説

Thomas (Project 46)の解説

Leadも、1つのプリセットだけで作らないことが重要です。最低でも次の2つのレイヤーで作ると良いでしょう。

  • Main Lead:メロディを奏でるLead。曲の雰囲気に合った個性的な音を選ぶ
  • Sub Lead:メロディを1オクターブ上か下で奏でて、Main Leadを後ろから支える

上の2つの動画では、Big ZとThomasがLeadのレイヤーのやり方を実演しています。

②トレモロ・ビブラート

Leadはボーカルのように考えると良い音になります。うまい歌手は、トレモロ(音量の揺れ)やビブラート(音程の揺れ)を使います。シンセのLeadでも、LFOやオートメーションで揺れをつけると、ぐっとプロっぽくなります。

③ピッチオートメーション

Brooksの解説(38:36〜)

ビブラートの延長として、ピッチのオートメーションを書くとLeadの表現力が上がります。上の動画では、BrooksがBoomerangのLeadのピッチオートメーションを解説しています。

④リバーブにサイドチェーンをかける

Bassjackersの解説(11:29〜)

Lead以外にも使える技ですが、リバーブの音にサイドチェーンをかけます。Progressive Tranceなどで使われていた技で、今ではどんなジャンルでも使われています。使いこなせると、一気に曲の奥行きが増します。上の動画ではBassjackersが実演しています。

Pluck

Pluckは、弦をはじいたような短く爽やかなシンセ音で、作り方はとても簡単です。詳しくはプラック音の作り方・応用方法で解説しています。

①Pluck音とは何か

↑有名なイントロ

最も有名なのは、上のdeadmau5 – The Veldtで使われているシンセ音です。Progressive Houseでよく使われる音で、ギターのような爽やかさが特徴です。

②作り方

deadmau5の実演(7:36〜)

上の動画は、deadmau5がライブ配信でPluckを作っている様子です。基本的には、ノコギリ波(Saw波)にフィルターのエンベロープをかけるだけで完成します。

③応用方法

フィルターをかけるだけでは物足りない方は、次の技を試してみてください。

  • Click音やノイズを重ねる:アタック感が足りないと感じたら、短いサンプルを一緒に鳴らすと効果的です
  • コードを面白くする:物足りなさの原因が音楽理論にあることも。7th、sus2などの音を足すと、狙いのサウンドになることがあります
  • ピッチオートメーション:鳴り始めの10ms(ミリ秒)だけ一瞬音を高くして戻す裏技です。アタック感が増します

Pad

パッドサウンドのイメージ

曲の背景を作る

Padは、コードを長く鳴らして曲の背景や雰囲気を作る音です。静かなイントロや、曲全体の空気感を整えるために少しだけ混ぜることが多いです。詳しくは美しいPadサウンドを作るコツ3選で解説しています。

①shallouに学ぶPadの基本

Padをうまく使って注目を集めたプロデューサーといえば、shallouではないでしょうか。EDMでは珍しい静かなサウンドに、多くの人がハマったと思います。

shallouは以前、LANDRのインタビューでPadの作り方を語っていました。要点をまとめると、次のような内容です。

  • Padはとにかく「レイヤー(音の重ね合わせ)」が大事。ピアノやグロッケン、フルートなどをオーディオに書き出し、大胆に引き伸ばしてドローンのようにする
  • リバーブを100%ウェットにした音にサイドチェーンをかけて、ほかの楽器となじませながら厚みを出す。自分の声でコードを重ねて歌い、自然な質感にすることもある
  • Padを足すときは、ほかの楽器がすでに占めている周波数帯を避ける。サビが濁るときは、ディレイとリバーブを深くかけたアルペジオの低域を大きくカットして、空気感だけを足す

※元記事のURLは現在別の記事に転送されるため、リンクは外して要点だけを紹介しています。

②Foleyの活用

空気感をさらに深めたいときに有効なのが、Foley(フォーリー)サンプルです。Foleyとは、日用品を叩いた音や雨風の音などの環境音のことです。環境音を薄く混ぜることで、聴く人の想像をかき立て、よりエモーショナルな音になることがあります。

③ドローンサウンドの作り方

↑巨大な音場を作りたい時に

shallouが話していた、オーディオを引き伸ばしたドローンサウンドの作り方を、Nigel GoodがAbsynthで実演しています。ドローンサウンドとは、宇宙をイメージさせるような、広大な音場を表現する音のことです。

Piano

リアルに聴こえるピアノを作る

ピアノは、MIDIで鳴らした感じを消すことで、デジタルの冷たい音を避けられます。そのためには、ドラムのときと同じく、タイミングやベロシティをわずかにずらすことが大切です。上の動画では、Xan Griffinがリアルなピアノの打ち込みを実演しています。おすすめの音源はピアノ音源&使い方のコツで紹介しています。

音楽理論

メロディと音楽理論のイメージ

音楽の共通言語!

音楽理論は「どの音を鳴らせば外れないか」を知るためのルールで、EDMならキー・スケール・コードの3つを押さえれば十分です。

さらに先に進むと「どんな雰囲気にしたいか」を狙って作れるようにもなる、ある意味では一番音楽的に重要なトピックです。ここでは簡単に説明します。詳しくは音楽理論とは?スケール、キー、コードを解説を参考にしてください。

スケール/キーとは

ピアノロールに表示したCマイナースケール

↑Cマイナースケール

キーとは曲の中心になる音のことで、ドからシまでの12個(+メジャー/マイナー)があります。スケールとは、そのキーで使う音の並びのパターンです。EDMではマイナースケールの曲が多いですが、中東風のスケールなどを使った曲も時々あります。FL Studioのピアノロールにはスケールを表示する機能があるので、まずはそれを使って「外れない音」を視覚的に覚えるのがおすすめです。

コードとは

ピアノロールに打ち込んだCマイナー7thコード

↑Cマイナー7thコード

コードとは、2〜5個の音を同時に鳴らす組み合わせのことです。基本は、明るいサウンドのMajorコードと、暗いサウンドのMinorコードの2つです。ほかにもたくさんの呼び名がありますが、どれも「基本のMajor/Minorコードに、どんな味付けをするか」という観点で見ると分かりやすいです。たとえば7thを足すと華やかで大人っぽい雰囲気、sus2やsus4にすると浮遊感のある雰囲気になります。暗記よりも実戦で使えることが大事なので、ピアノロールでいろいろなコードを鳴らしながら覚えていきましょう。

良いコード進行を作るコツ

Hooktheory

コード進行とは、コードをどの順番で鳴らすかのことです。コード進行が決まれば曲の音楽的な背景が決まり、メロディも作りやすくなります。ただ、最初は適当にコードを並べても、なかなか良い響きになりません。そこで便利なのがHookpadです。ヒット曲でよく使われるコード進行を調べたり、クリックだけでコード進行を作ったりできます。FL Studio 2025以降なら、ピアノロールのコード進行ツールでベースラインまで自動生成できます。EDMの定番進行はEDMにおすすめのコード進行5つで紹介しています。

ミックスのやり方

ミキサー画面のイメージ

楽器のバランスと音質を整える!

ミックスとは、各楽器の「音量バランスを整える」ことと「エフェクトで音質を磨く」ことの2つです。

たとえば、Kickやシンセだけが大きすぎないように音量を下げる、低音が足りないから100Hz付近を持ち上げる、といった作業です。実際にはそれだけでなく、「質感のクオリティを上げる」「サイドチェーンやボコーダーなどの特殊効果をつける」ことも含まれます。このように、ミックスを

  • バランスを整える
  • エフェクトをかける

の2つに分けて考えるのがポイントです。まだEQやコンプレッサーを知らない方は、先に「ステップ1:EQ/コンプレッサー」を読んでください。ミックスの全工程はEDMのmixのやり方を全て解説で詳しく解説しています。

シグナルフロー

楽器ごとのエフェクトのかけ方を説明する前に、シグナルフロー(プラグインを挿す順番)を説明しておきます。標準的な順番は次の通りです。

  1. 音作り用のプラグイン
  2. コンプレッサー
  3. サイドチェーン
  4. EQ

音作り用のプラグインには、ほとんどのエフェクトが含まれます。リバーブやディレイ、ディストーション、もっと大胆に音を変えるモジュレーション系などです。もちろんこれは出発点で、狙いによって順番を入れ替えても構いません。サイドチェーンについては「ステップ1:サイドチェーン」を読んでください。

ミックスで大事な考え方

ミックスのゴールは、すべての楽器の良さを引き出した、バランスの良い曲にすることです。そこで重要なのが、

  • Less is More(足すより、引く)

という考え方です。ミックスをしているとつい「高音が足りないからEQでブーストしよう」「もっとパンチが欲しいからコンプのレシオを上げよう」と、何かを足す方向に考えがちです。ですが、いらない音を削る作業をコツコツ積み重ねたほうが、最終的に求めていた音になりやすいのも事実です。次に大切なのが、

  • 立体的にミックスする

という考え方です。ミックスではつい、左右の広がり(ステレオ感)という平面だけで考えてしまいがちです。そこに「どの楽器が手前で、どの楽器が奥にいるか」「どの楽器が上のほう(高音域)にいるか」という奥行きと高さを加えて、立体的に考えるとクオリティが上がります。

奥行きはリバーブだけでなく、音量やフィルターでも作れます。左右の広がりは、ステップ1で紹介したステレオイメージ系のプラグインで調整します。ちなみに、110Hz以下の低音は「モノラル」にまとめておくと、まとまりのあるサウンドになります。

それでは、要素ごとのミックスのやり方を説明します。

ドラムのミックス方法

ドラムキットのイメージ

ミックスはドラムから始めよう!

ミックスはどこから始めても構いませんが、一番手前で鳴っているドラムから始めるとうまくいくことが多いです。ここでは

  1. キック(Kick)
  2. スネア(Snare)
  3. クラップ(Clap)
  4. パーカッション(Percussion)

の順番で解説します。数値はあくまでスタートポイントなので、最後は自分の耳で調整してください。

①キック(Kick)

キックのEQ設定例

↑キックのEQ設定

まずはEQです。上のように、ハイパスフィルターを25Hz、ローパスフィルターを15,000〜20,000Hzにかけます。人にはほとんど聴こえない帯域をカットすることで、最終的なマスターの音圧を上げやすくなります。

キックのコンプレッサー設定例

↑キックのコンプ設定

次にコンプレッサーです。レシオ4:1、アタック16ms、リリース85ms、メイクアップゲイン4dBが出発点です。Kickは強めにコンプをかけたほうが、ミックスに埋もれにくくなる傾向があります。

そのほかのエフェクトは、実はあまりかけないほうが良かったりします。今のKickに満足できなければ、サンプルを変えたほうが早いことも多いです。特にリバーブやディストーションは、クリエイティブに聴こえても大抵は変になるので気をつけてください。

②スネア(Snare)

スネアのEQ設定例

↑スネアのEQ設定

スネアのEQは、ハイパスを140Hz、ローパスを20,000Hzにかけましょう。Kickと違ってサブベース帯域は必要ないので、Kickとぶつからないように超低音はカットします。ただ、Dubstepのスネアなど低音も必要な場合は、カットしすぎないよう注意します。

スネアのコンプレッサー設定例

↑スネアのコンプ設定

コンプは、レシオ4:1、アタック14ms、リリース65ms、メイクアップゲイン3dBが出発点です。スネアはKickと同じくらいビートで重要な要素です。特にリリースの長さはテイル(余韻)に関わるので、ゲートやトランジェントプロセッサーと一緒に丁寧に設定してください。

そのほかでは、リバーブのSizeとDecayがとても大切です。スネアをどのくらいの広さで鳴らし、どのくらい伸ばすのかを決めましょう。

③クラップ(Clap)

クラップのEQ設定例

↑クラップのEQ設定

クラップのEQは、ハイパスを370Hz、ローパスを19,000Hzにかけましょう。低音はまったく必要ないので、ロー・ミッド以下はバッサリとカットします。

クラップのコンプレッサー設定例

↑クラップのコンプ設定

コンプは、レシオ4:1、アタック10ms、リリース60ms、メイクアップゲイン3dBが出発点です。かなり短いアタックです。リリースタイムを調整して、グルーブをBPMに合わせましょう。

ほかには、高域をハイシェルフEQで持ち上げてさらに存在感を出したり、リバーブを足したりします。場合によってはディレイがかっこよく聴こえることもあります。

④パーカッション(Percussion)

パーカッションのEQ設定例

↑パーカッションのEQ設定

そのほかのパーカッションは、ハイパスを300Hz、ローパスを15,000Hzにかけましょう。ハイパスをかけすぎると、最終的にロー・ミッドがスカスカになることがあるので注意してください。

パーカッションのコンプレッサー設定例

↑パーカッションのコンプ設定

コンプは、レシオ4:1、アタック20ms、リリース60ms、メイクアップゲイン2dBが出発点です。こちらもリリースタイムでグルーブをBPMに合わせましょう。

そのほかは、基本的にこれまでと同じです。「ドラムの音作りのコツ」で紹介した、ドラム全体へのグルーコンプやパラレルコンプも試してみてください。

マスタリング

マスタリングは、ミックスが終わった曲の最終的な音量と質感を整え、配信できる状態に仕上げる工程です。

基本の流れは、EQで全体のバランスを微調整し、コンプやサチュレーションで質感をまとめ、最後にリミッターで音圧を整える、というものです。ステップ1で紹介したFabFilter Pro-L 2やiZotope Ozone 12は、まさにこの工程で使うプラグインです。FL Studioの有料プランのFL Cloudには、ジャンルを選ぶだけで仕上げてくれるAIマスタリングもあります。

ただ、AIマスタリングも万能ではありません。ミックスの段階でバランスが崩れていると、マスタリングでは直せないからです。まずは自分で一通りやってみて、仕組みを理解してから道具に頼るのがおすすめです。具体的な手順はプロが行うマスタリングを6手順で解説で紹介しています。

ステップ4:曲を量産する方法

時間管理と効率よく曲を作るイメージ

効率よく曲を作ろう!

上達の一番の近道は、細部にこだわりすぎず「とにかく曲を完成させる」回数を増やすことです。

長い間、お疲れさまでした。ここまでの3ステップを読んだあなたは、知識の面ではもう十分な量を持っています。ここからは、あなた自身の「経験」を積み重ねて、オリジナリティのあるプロデューサーになる方法を解説します。

あえて、質より量

知識を得た瞬間に良い曲ができるわけではありません。知識は知識でしかなく、自分で手を動かして初めて曲は完成します。最初は変な曲しかできず、プロとまったく違う音にがっかりするかもしれません。そんなときに意識してほしいのが、

  • 質より量

という考え方です。「逆じゃないの?」と思うかもしれませんが、初心者が陥りやすいミスの1つが「細かいところにこだわりすぎて、いつまでも曲を完成させないこと」なんです。

「1万時間の法則」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。一流になるには1万時間ほどの練習が必要だ、という考え方です(研究者からは単純化しすぎだという指摘もあります)。数字はともかく、自分の曲を誰かが喜んで聴いてくれるまでには、それなりの時間がかかると「意識」しておくだけでも気持ちが楽になるはずです。

コンプのレシオやEQの設定を細かくいじるくらいなら、新しい音やアレンジ、コードに集中して、とにかくミックスまで終わらせる。これを繰り返さない限り「経験」は増えません。

「プロのような曲じゃないから」と言い訳して、完璧主義にならないこと。脇目も振らず、どんどん曲を作ること。これをぜひ意識してください。続けていれば、きっと「やってきて良かった」と思える日が来ます。

曲作りの始め方

質より量を実践する助けになるのが、自分なりの「曲の始め方」を持っておくことです。よく使われるのは次の4つです。詳しくは曲作りの始め方 – プロが使う5つの代表例で紹介しています。

①ドラムから作る

ビートから始めるEDMプロデューサーはかなり多いです。ドラムは「踊れる」音楽の核なので、ここが弱いと全体も弱くなります。音楽理論が関わらないので取りかかりやすく、作ったビートを書き出して保存しておけば、別のプロジェクトにも使えます。

②コード進行から作る

コードから始める人も非常に多いです。コードは曲の雰囲気を一気に決めるので、音楽的な要素から入りたい人におすすめです。まずはシンプルなピアノでコード進行のループを作り、その上にメロディやドラムを乗せていきます。Hooktheoryなどで好きな曲のコード進行を調べて、アレンジしてみても面白いでしょう。

③ボーカル(鼻歌)から作る

ボーカル曲を作る人だけでなく、全員におすすめのやり方です。思いついた鼻歌をスマホのボイスメモなどにストックしておき、そこからコード進行などのアイデアを膨らませます。後から鼻歌を別の楽器に置き換えても、消してもOKです。感情やイメージがダイレクトに乗りやすいのが魅力です。

④Padやアンビエンスから作る

少数派ですが、Monstercatで活躍したPuppetがRedditのAMA(質問企画)で話していたように、海や山、街などの環境音やドローン系のPadを聴きながら曲作りを始めるやり方もあります。私はこの始め方が多いような気がします。映画音楽に近い曲や、静かめのChillな曲を作りたい方には特におすすめです。

フィードバックをもらう

経験値を増やすために大切なのが、周りからフィードバックをもらうことです。

ありがちなのが、家にこもって曲を作り、誰にも聴かせない秘密主義になってしまうパターンです。より良い曲を作るのが目標なら、人の意見を聞いたほうが最終的にプラスになります。家族や友人、オンラインでつながったプロデューサー仲間など、さまざまな視点の意見を聞くことで、自分の曲を広い視野で見られるようになります。

フィードバックをもらうときは、「ドロップの低音が弱くないか」「イントロが長すぎないか」など、聞きたいポイントを具体的に伝えると、役立つ意見が返ってきやすいです。もらった意見にはお礼を伝え、全部を取り入れる必要はありません。複数の人から同じ指摘を受けた部分から直していきましょう。

作業効率を上げる方法

作業効率を上げる方法を2つ紹介します。1つ目は、自分のワークフロー(作業の流れ)を決めておくことです。毎回DAWを開いてから何をするか考えていては、いつまでたっても経験が増えません。「ドラムを組んでからピアノでコードを作る」のように、やることの順番を決めておきましょう。よく使う音やエフェクトを並べたテンプレートを作っておくのも効果的です。

2つ目は、スマホアプリを活用することです。すぐにSNSを見てしまう、仕事が忙しくて曲作りの時間が足りない、といった悩みがある方は、アプリでアイデアのメモや作業時間の管理をすると、より多くの曲を完成させる助けになります。おすすめはEDM制作におすすめのアプリ7選で紹介しています。

番外編:AIツールはEDM制作にどう組み込む?(2026年版)

2026年のEDM制作では、AIは「曲を丸ごと作らせる道具」ではなく、「アイデア出しや面倒な作業を手伝わせる道具」として使うのが現実的です。

ここ数年で、文章で指示するだけで歌入りの曲まで作れる生成AIや、DAWに組み込まれたAI機能が一気に広がりました。「AIで作ったデモを、ちゃんとした曲に仕上げたい」という相談も増えています。ここでは、2026年10月時点の状況と、制作への取り入れ方を整理します。

DAWに組み込まれたAI機能

まず押さえておきたいのは、DAW側のAI機能です。著作権の面でも扱いやすく、すぐに制作の効率が上がります。

機能使えるDAW・ツール使いどころ
ステム分離(曲をボーカル・ドラムなどに分ける)FL Studio(21.2以降)、Ableton Live 12 Suite(12.3以降)、Cubase 15 Pro などリファレンス曲の分析、自分の過去曲のリミックス
AIアシスタントFL Studio の Gopher(2026では音量やプラグインのパラメータ操作も可能)操作方法が分からないときの質問、単純作業の時短
ループ・コード生成FL Studio の Loop Starter、ピアノロールのコード進行ツール白紙の状態からの曲の始め方
AIマスタリングFL Cloud、Ozone 12 などデモの音量をそろえる、仕上がりの目安を知る

特にステム分離は、ステップ2の「好きな曲を分析する」作業と相性抜群です。好きな曲のドラムだけ、ベースだけを取り出して聴くと、どんな音がどのくらいの音量で鳴っているのかが手に取るように分かります(分析用にとどめ、他人の曲の素材を自分の曲に無断で使うのはやめましょう)。

Sunoなどの生成AIとの付き合い方

Sunoは、文章で指示するだけで歌入りの曲を生成できるサービスです。2026年9月に最新モデルの v6 シリーズが公開されました。ただ、制作に使う前に知っておきたい注意点がいくつかあります。

  • プランによってできることが違う:無料プランで作った曲はダウンロードできず、有料プランも月あたりのダウンロード数に上限があります。
  • 商用利用は規約次第:有料プランの加入者には生成物の権利が譲渡されるとされていますが、商用利用には条件があり、著作権が成立することまでは保証されていません。リリースや収益化の前に、必ず最新の利用規約を確認してください。
  • 業界との関係は流動的:SunoはWarner Music Groupと和解してライセンス契約を結んだ一方で、Universal MusicやSony Musicとの訴訟は続いています(2026年9月時点)。同じく生成AIのUdioは、生成した曲のダウンロードを停止しています。サービスの仕様や規約は今後も変わる可能性があります。
  • 似ている曲は別問題:日本の著作権法では、AIの学習(情報解析)は原則として許諾不要とされています(30条の4)。ただし、生成した曲が既存の曲に似ていれば、学習とは別に著作権侵害が問題になり得ます。特定のアーティスト名を指定して「そっくりな曲」を作るのは避けましょう。
  • 配信サービスのルール:Spotifyは2025年9月に、スパム対策の強化や、他人の声を無断でまねたAI楽曲の禁止、AIの使用をクレジットに表示する仕組みを発表しています。配信するなら、各サービスの最新ポリシーも確認が必要です。

AIを使ったおすすめの制作フロー

生成AIを使う場合でも、最終的な音作りとミックスは自分のDAWで行うのがおすすめです。たとえば次のような流れです。

  1. アイデア出しに使う:雰囲気やコード感のヒントを得るスケッチとして使い、そのまま完成品にはしない
  2. DAWで作り直す:気に入った要素(コード進行やメロディの方向性)を参考に、ピアノロールで自分で打ち込み直す
  3. 音作りとミックスは自分で:ステップ3で紹介したドラム・ベース・リードの音作りと、ミックス・マスタリングを自分の手で行う
  4. 権利関係を確認してからリリース:使ったサービスの規約と、配信先のAIポリシーを確認する

AIは便利ですが、「自分にしか作れない音」を作る力は、結局ステップ1〜4で紹介した基礎から生まれます。AIを上手に使いながらも、基礎の練習は続けていきましょう。

ステップ5:自分のブランドを作る

SNSでファンとつながるイメージ

インターネットを最大限活用しよう!

曲ができたら、「誰が作ったどんな音楽か」が一目で伝わるブランドを作り、配信・SNS・レーベルを通じて聴いてもらいましょう。

ここからは、満足できる曲を作り終えたあと、いかにして他の人に聴いてもらうかを考える「マーケティング」について説明します。より詳しい内容は、全11回のEDMマーケティング講座で解説しています。

なぜブランドが必要なのか

私は以前、自分の作った曲を適当にSoundCloudやYouTubeにアップしていました。何人か通りすがりの方が"nice!""awesome."といった簡単なリアクションをしてくれましたが、もっとファンがいてもおかしくないのに、と感じていました。

ある日、私は自分の間違いに気がつきました。もし自分が今の自分のアカウントに出会ったら、「なんか素人がいい感じの曲を作ったんだな」としか思わない、という当たり前のことに気づいたのです。つまり、聴く人に曲を理解して楽しんでもらうための工夫を、まったくしていなかったのです。もちろん曲作りが一番大切ですが、自分の「ブランド」をいろいろな場所で、いろいろな形で表現する必要もあったのです。

あなたのファンはどこにいるのか

今はファンが0人でも、心配はいりません。勉強し、練習して、自信のある作品を作ったのですから、世界のどこかに必ず共感してくれる人がいます。まずは、世界の音楽好きがどんな手段で音楽を聴いているのかを知りましょう。主な音楽配信サービスは次の通りです。

  • Spotify
  • Apple Music
  • YouTube / YouTube Music
  • Amazon Music
  • SoundCloud
  • Deezer
  • Bandcamp

国によって人気のサービスが違うので、自分が届けたい地域で何が聴かれているかも意識しましょう。これらのサービスに曲を出す方法は、大きく分けて2つです。

方法メリット注意点
レコード会社(レーベル)と契約する宣伝やマスタリング、プレイリストへの売り込みなどを手伝ってもらえる審査がある。契約条件(取り分や権利の期間)をよく確認する
配信代行サービスで自分で出すDistroKidやTuneCore Japanなどで、誰でもすぐに配信できる宣伝はすべて自分。料金体系はサービスごとに違う

FL Studioユーザーは、有料プランのFL CloudからDistroKid経由で配信することもできます。ただし、FL Cloudを解約すると配信中の曲がストリーミングサービスから取り下げられる点に注意してください(DistroKidと直接契約すれば継続できます)。

また、Spotifyでは2024年4月から、直近12か月の再生数が1,000回未満の曲には原盤の印税が支払われなくなりました。たくさんの曲をばらまくより、1曲1曲をしっかり届けるほうが大切になっています。

すでにある程度ファンがいるなら自分で配信するのもおすすめですが、まだ無名のうちは、宣伝やマスタリングも手伝ってくれるレーベルとの契約を目指すのも良い選択です。配信の具体的な手順はSpotify、Apple Musicなどに個人で曲をアップする方法、各サービスの攻略法はSpotifyの攻略法・SoundCloudの攻略法・YouTubeで大きなチャンネルに紹介してもらう方法・SNSブランディングで解説しています。

レーベルとの契約方法を説明する前に、ブランドの拠点になるロゴとウェブサイトについて簡単に説明しておきます。

ブランドがアマチュアっぽく見える理由の1つに、ロゴがない、またはロゴの印象が弱いことがあります。Adobe IllustratorやCanvaなどを使って、ジャケットやウェブサイト、SNSのアイコンなど、さまざまな場所で使える高画質なロゴを作っておきましょう。詳しくはロゴやジャケット画像を作る方法を参考にしてください。

自分のウェブサイトを作る

次に、自分だけのウェブサイトも用意しておきましょう。独自ドメイン(ウェブ上の住所)を取得して、アーティスト情報や配信リンク、SNSへのリンクをまとめておくと、レーベルやメディアにも紹介してもらいやすくなります。デザインが面倒な方は、Squarespaceなどのサービスを使うと手軽です。

レコード会社と契約する

レコード会社も会社なので、あなたの曲がそのレーベルのカラーに合っていて、売れる見込みがあれば投資してくれます。曲がストリーミングやライブで売れたら、契約に応じて収益が分配される、というのが基本的な流れです。まずは音楽業界の仕組みを理解しておきましょう。

次は、いかにして契約を勝ち取るかです。デモの送り方や英語でのメールの書き方、提出時の注意点は、私が実際に海外レーベルと契約したときの経験をもとに日本人で海外レーベルとの契約を取る方法で詳しく解説しています。ボーカル曲やリミックスでチャンスを広げたい方は、自分の曲にボーカルをつける方法や他人の楽曲のリミックスを作る方法も参考にしてください。

よくある質問

EDMを作るのに、どのくらいのスペックのPCが必要ですか?

公式な基準はありませんが、EDM Matrixとしては、メモリ16GB以上・SSD搭載のPCをおすすめしています。大型のオーケストラ音源やサンプラーを多用するなら32GB以上あると安心です。Windowsでも最近のApple Silicon搭載Macでも、EDM制作は問題なくできます。詳しくはPCの選び方を参考にしてください。

お金をかけずにEDM制作を始められますか?

始められます。FL Studioには、保存したプロジェクトを開き直せない以外はほぼすべての機能を試せる体験版があります。無料のDAWならWaveform FreeやGarageBand(Mac)、Cakewalk Sonarの無料プランなどがあります。プラグインも、シンセのVital、マルチバンドコンプのOTT、リバーブのValhalla Supermassiveなど、無料で質の高いものがそろっています。

音楽理論を知らなくてもEDMは作れますか?

作れます。最初はピアノロールのスケール表示やコード進行ツールを使えば、外れた音を鳴らさずに済みます。ただ、キー・スケール・コードの基本だけでも知っておくと、作りたい雰囲気を狙って作れるようになり、上達が速くなります。まずは音楽理論の基本から読んでみてください。

AIで作った曲を、そのまま配信してもいいですか?

おすすめしません。サービスごとに商用利用の条件が違い、著作権が成立するかどうかも保証されていないからです。配信先のAIポリシーに触れる可能性もあります。AIはアイデア出しに使い、DAWで自分の手で作り直して仕上げるのが安心です。詳しくは番外編:AIツールの取り入れ方を参考にしてください。

まとめ:良い音楽を、増やそう

ミキサーとヘッドホンのイメージ(まとめ)

Thank You<3

ここまで読んでくださった皆さん、本当にお疲れさまでした。最後に、この記事のポイントを振り返ります。

  • 最初に必要なのはPCとDAWだけ。機材やプラグインは、作りたい音が見えてから少しずつ買い足せば十分です。
  • 好きな曲を分析して、まずは1曲完成させる。音作り・音楽理論・ミックスのコツは、曲を作りながら身につけるのが一番の近道です。
  • 質より量で経験を積み、ブランドを作って届ける。AIは補助として上手に使い、自分にしか作れない音を育てましょう。

この記事の目的は、EDMについて何も知らない人でも、海外のレコード会社に採用されるレベルの曲を作れるようになることです。最後まで読み切ったあなたは、素直で努力家のプロデューサーだと思います。EDM Matrixは、あなたが世界中を驚かすようなEDMを作るのを楽しみにしています。将来、世界に新たな素晴らしい楽曲が1つ増えますように。それではその日まで、Happy Producing!

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FL Studio Template Proについて詳しくは、FL Studio テンプレート Proの特徴と使い方をご覧ください。

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ミックスとマスタリングのチェーン、アレンジ、オートメーションを設定済みのFL Studio用プロジェクトテンプレート。メロディを打ち込むところから始められます。

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カテゴリー: EDMの作り方