FL Studioの使い方 初心者向けガイド

FL Studioは「設定を4つ済ませて、4つの画面(チャンネルラック・ピアノロール・プレイリスト・ミキサー)の役割を覚える」だけで曲作りを始められます。この記事では、FL Studioを買ったばかりの初心者の方に向けて、最新版のFL Studio 2026に合わせた使い方を順番に解説します。読み終わるころには、最初の1曲を作り始められるはずです。

この記事でわかること

  • インストール直後にやっておくべき4つの初期設定(オーディオ/MIDI/ファイル/書き出し)
  • チャンネルラック(ステップシーケンサー)、ピアノロール、プレイリスト、ミキサーの役割と基本操作
  • 好きな曲の分析から始める、最初の1曲の作り方
スクリーンショットについて

この記事の画像は、以前のバージョンのFL Studioで撮影したものです。最新のFL Studio 2026では、ボタンの位置や見た目が少し違う部分があります。ただし、メニュー名や基本的な操作の流れはほとんど変わっていないので、そのまま参考にしていただけます。画面が違って迷ったときは、Image-Line公式のオンラインマニュアルで最新の画面を確認してください。

FL Studio 2026とは?最新版の基本情報

FL Studio 2026は、Image-Lineが2026年7月に公開したFL Studioの最新版です。バージョン名は「21」のあとから年号方式になり、21 → 2024 → 2025 → 2026と続いています。

  • アップデートは無料…所有しているエディションのアップデートは、公式が「これまでもずっと無料」と案内しています。上位エディションへの移行は有料です。
  • エディション…Fruity/Producer/Signature Bundle/All Plugins Editionの4種類です。どれを選べばいいかは「FL Studioの購入方法」で解説しています。
  • 日本語UI…日本語表示にも対応しています。ただし、この記事では検索しやすいように英語表記のメニュー名で説明します。

2025〜2026年に追加された主な機能は、次のとおりです。初心者のうちはすべて覚える必要はありませんが、「こういう機能がある」と知っておくと便利です。

機能追加された版できること
AIステム分離21.2曲をボーカル・ドラム・ベースなどのパートに分ける
Loop Starter2025ジャンルを選ぶだけで、曲作りのたたき台になるループを作る
Gopher2025(2026で強化)AIアシスタント。2026ではチャットの指示で音量やプラグインのパラメータも変更できる
FLEX(全面刷新)2026付属のプリセット系シンセ。2019年の登場以来、初の大きな作り直し
Transmitter2026音のアタック(トランジェント)と余韻(サステイン)を分けて処理するプラグイン
Project Backup2026保存のたびにプロジェクトをFL Cloudへ自動バックアップ

この記事の手順は FL Studio Template Pro に設定済みです。 詳細を見る →

パート1:最初にやっておく4つの初期設定

FL Studioの初期設定

FL Studioをインストールしたら、曲作りの前に「オーディオ」「MIDI」「ファイル」「書き出し」の4つを設定しておきましょう。私が考える必要最低限の初期設定は、たったこれだけです。

オーディオ設定(音の出口と処理の効率)

オーディオ設定では、どのスピーカーやヘッドホンから音を出すか、そしてCPUでどう音を処理するかを決めます。画面上部のメニューから「OPTIONS」→「Audio settings」を選ぶか、F10キーで設定画面を開き、「Audio」タブを表示します。

FL Studioのメニューバー(OPTIONS)

すると、以下のような画面が出てきます(画像はWindowsの場合)。

FL StudioのAudio設定画面

ここで設定しておくべきことは、以下の3つです。

  • Input/Output(デバイス)…オーディオインターフェースをお持ちの方は、メーカー純正のASIOドライバーを選びます。お持ちでない場合、Windowsは「FL Studio ASIO」、Macは「Built-in Audio」などのCore Audioデバイスを選択します。
  • Sample rate(サンプルレート)…特に理由がなければ、初期値の44,100Hzで問題ありません。
  • CPU…「Multithreaded generator processing」と「Multithreaded mixer processing」をオンにすると、処理が複数のCPUコアに分散されます。また、使っていないプラグインを自動で休ませてCPUを節約する「Smart disable」もオンにしておきましょう。

次に、バッファサイズ(音をためておく量)を調整します。Windowsで「FL Studio ASIO」を使う場合は、「Show ASIO panel」からASIOパネルを開きます。

FL Studio ASIOのパネル

バッファサイズは、小さいほど鍵盤を弾いてから音が鳴るまでの遅れ(レイテンシー)が短くなります。ただし、小さすぎると「プチプチ」というノイズが出ます。まずは小さめの値に設定し、ノイズが出たら少しずつ大きくしてください。公式マニュアルでは、Windows ASIOで約10ms(441サンプル)、Apple Silicon Macでは128サンプルから試す方法が紹介されています。

MIDI設定(MIDIキーボードの接続)

MIDIキーボードなどのMIDI機器は、USBで接続すればほとんどの場合FL Studioが自動で認識してくれます。設定画面の「MIDI」タブで、接続した機器が一覧に表示されていればOKです。

FL StudioのMIDI設定画面

1つだけ覚えておきたいのが「Velocity curve(ベロシティカーブ)」です。これは「鍵盤をどれだけ強く弾いたか」という情報の感度を変える設定です。鍵盤の反応が良すぎる、または鈍すぎると感じたら、カーブの傾きを調整してみてください。MIDIキーボードの選び方は「MIDIキーボードの選び方」で紹介しています。

ファイル設定(プラグインとサンプルの読み込み)

次は、購入したVSTプラグインやサンプルパックをFL Studioで使えるようにする設定です。設定画面の「File」タブを開きます。

FL StudioのFile設定画面

ここで行う設定は2つです。

  1. Plugins(プラグインの検索)…「Manage plugins」から、プラグインをインストールしたフォルダーを指定してスキャンします。スキャンが終わると、ブラウザーの「Plugin database」→「Installed」からプラグインを選べるようになります。
  2. Browser extra search folders…サンプルパックなど、よく使うフォルダーを登録します。登録したフォルダーは、FL Studioのブラウザーに表示されるようになります。

ブラウザーのPlugin database

FL Studioのブラウザーに登録したフォルダー

サンプルパックをまだ持っていない方は、「無料サンプルパックのリスト」から集めてみてください。

書き出し設定(WAVで高音質に保存)

曲の書き出しは、WAV形式・24bit以上・44.1kHz以上を基本にしておけば安心です。ここはマスタリングや音楽配信とも関わる大事なところなので、あえて最初に説明しておきます。

書き出すときは、画面左上のメニューから「FILE」→「Export」→「WAV file」を選びます。

FL Studioのメニューバー(FILE)

保存先を決めると、以下のような書き出し設定のウィンドウが出てきます。

FL Studioの書き出し(Export)設定画面

上の画面のように設定しておけば、多くの配信サービスに提出できる品質で書き出せます(設定画面:In The Mixより)。ファイル形式の考え方は、Pro Audio Filesのまとめ記事も参考になります。

  • 制作中・書き出しは24bit以上のWAV…16bitやMP3で書き出したファイルを素材として使い回すと、失われた音質は元に戻りません。
  • 配信用のファイル形式は配信代行サービスごとに確認…入稿できる形式(16bit/24bit、サンプルレートなど)は、利用するサービスの公式ヘルプで確認してください。配信の方法は「個人で曲を配信する方法」で解説しています。

ほかの設定項目を知りたい方は、FL Studioのオンラインマニュアルも参照してください。

パート2:曲作りの流れと4つの画面

FL Studioの曲作りの流れ

FL Studioの曲作りは「3種類のクリップをプレイリストに並べる」→「ミキサーで音量や音質を整える」の2ステップだけです。難しそうに見えますが、流れ自体はとてもシンプルです。

3種類のクリップとは、次の3つです。

クリップ中身主に作る場所
オーディオクリップWAVなどの音声データ(ドラム、ボーカル、FXなど)ブラウザーからプレイリストへドラッグ
パターン(MIDI)クリップシンセやドラムを鳴らす演奏データチャンネルラック、ピアノロール
オートメーションクリップ音量やフィルターなどの値を自動で動かすデータノブを右クリック→Create automation clip

オーディオクリップ:音声データを並べる

オーディオクリップとは、WAVなどの音声データのことです。サンプルパックに入っているドラム音やボーカル、FXなどがこれにあたります。ブラウザーからファイルをドラッグ&ドロップするだけで、プレイリストに貼り付けられます。

プレイリストに貼り付けたオーディオクリップ

オーディオクリップでよく使う操作は、次の3つです。

1. 長さを伸び縮みさせる(タイムストレッチ)

プレイリスト左上でオーディオクリップの表示(Audio Clip Focus)に切り替えます。

プレイリストのAudioモード切り替え

そこで「Stretch clips」のアイコンをオンにすると、クリップの端をドラッグするだけで、ピッチを変えずに長さを変えられます。サンプルを見た目でBPMに合わせたいときに便利です。

2. サンプルを細かく調整する(チャンネル設定)

オーディオクリップをダブルクリックすると、以下のような「チャンネル設定(サンプラー)」の画面が出てきます。

オーディオクリップのチャンネル設定画面

  • PITCH…音の高さを変えます。サンプルを曲のキーに合わせるときに使います。
  • Reverse…音を逆再生します。クラップやリバーブを逆再生して、ライザー(盛り上げ用の効果音)を作るのに使います。詳しくは「Reverse(リバース)の使い方」をどうぞ。
  • IN/OUT…音の出だしと終わりをフェードイン・フェードアウトさせます。不要な部分を整えるのに使います。
  • Detect tempo…波形を右クリックすると出てきます。ループ素材のBPMを検出してくれるので、曲の分析にも使えます。

3. クリップメニューを使う

オーディオクリップの左上にある波形マークをクリックすると、クリップメニューが開きます。

オーディオクリップのクリップメニュー

  • Make unique…同じ音源から別のバリエーションを作りたいときに使います。元のクリップに影響を与えずに編集できます。
  • Fit to tempo…サンプルのテンポを、曲のBPMに自動で合わせてくれる便利な機能です。
  • Chop…音の立ち上がりを検出して、クリップを自動で切り分けます。

EDMは音を扱うアートなので、オーディオクリップの操作は早めに慣れておくと強い武器になります。具体的な活用例は「オーディオクリップの使い方3パターン」、さらに詳しい機能は公式マニュアルを参考にしてください。

パターン(MIDI)クリップ:楽器を鳴らす演奏データ

パターンクリップ(MIDIクリップ)は、シンセやドラムなどの楽器を鳴らすための演奏データです。プレイリストでは、以下のように表示されます。

プレイリストに並べたパターンクリップ

FL Studioでは、パターンクリップを「チャンネルラック(ステップシーケンサー)」と「ピアノロール」の2つの方法で作れます。

チャンネルラック(ステップシーケンサー):ドラムを打ち込む

チャンネルラックは、マス目をクリックするだけでリズムを打ち込める「ステップシーケンサー」です。初代FL Studioから受け継がれている、FL Studioらしさの象徴のような機能です。画面上部のツールバーにあるチャンネルラックのボタン(またはF6キー)で開きます。

FL Studioのチャンネルラック(ステップシーケンサー)

ドラムマシンのように、1マスごとにオン/オフを切り替えてリズムを作ります。基本の操作は次のとおりです。

  1. ブラウザーからキックやクラップなどのサンプルをチャンネルラックにドラッグして、チャンネルを追加する
  2. 鳴らしたいマスを左クリックでオンにする(右クリックでオフ)
  3. 4つ打ちなら、キックを1・5・9・13マス目に置くのが基本
  4. チャンネル名の右クリックメニューから「Piano roll」を選ぶと、同じチャンネルをピアノロールで細かく編集できる

ステップシーケンサーはドラムやパーカッション、シンプルなベースの打ち込みに向いています。ドラムの音作りは「ドラムの音作りのコツ11選」で詳しく紹介しています。各ボタンの意味は公式マニュアルにまとめられています。

ピアノロール:メロディやコードを打ち込む

ピアノロールは、メロディやコードなど音の高さと長さを細かく打ち込むための画面です。画面上部のピアノマークのボタン(またはF7キー)で開きます。

FL Studioのピアノロール

FL Studioのピアノロールは、説明がいらないほど使いやすいのが特徴です。左クリックで音符を置き、右クリックで消す。まずはしばらく適当に触ってみて、仕組みを体感してください。詳しい使い方は「ピアノロールとは?」と公式マニュアルを参考にしてください。コードやメロディの作り方は「音楽理論とは?」で解説しています。

オートメーションクリップ:値を自動で動かす

オートメーションとは、音量やフィルターなどの「値」を自動で動かす機能です。たとえば、サビ前に音量を徐々に上げて盛り上げたいときは、ミキサーの音量フェーダーのオートメーションクリップを作ります。

動かしたいノブやフェーダーを右クリックして「Create automation clip」を選びます。見つからない場合は、そのノブを最後に触ってから、画面上部の「TOOLS」→「Last tweaked」→「Create automation clip」を選びます。すると、以下のようなクリップが作られます。

プレイリストのオートメーションクリップ

あとは、値を動かしたいとおりにグラフを描くだけです。右クリックでポイントを追加しながら、カーブを作っていきます。詳しくは「オートメーションとは?」と公式マニュアルを参考にしてください。

ミキサー:音量と音質を整える

ミキサーは、クリップから出てきた音の音量を調整したり、エフェクトで音作りをしたりする場所です。F9キーで開けます。

チャンネルラックとミキサーの接続

チャンネルをミキサーのトラックにつなぐには、上の画像のようにチャンネルラック左側の数字(またはチャンネル設定右上の数字)を、つなぎたいミキサートラックの番号に合わせます。

エフェクトを使いたいときは、ミキサー右側のスロットをクリックするか、プラグインを直接スロットにドラッグ&ドロップします。最初は付属の「Parametric EQ 2」や「Fruity Limiter」から覚えるのがおすすめです。ミキサーの詳しい情報は公式マニュアルを参考にしてください。

実際に曲のバランスと音質を整える方法は、「ミックスのやり方」や「EDMのmixのやり方」で解説しています。

パート3:まずは1曲作ってみよう

最初の1曲は、好きな曲を分析して「型」をまねるところから始めるのがいちばんの近道です。いきなり「自由に作って」と言われても困ってしまいますよね。


市販の曲を分析してみよう

上の動画のLaidback Lukeのように、好きな曲をDAWに貼り付けて聴きながら、「16秒まではベースとキックだけ」「40秒あたりからスネアが鳴り始める」のように、各パートの出入りをメモしてみましょう。続けていくうちに、自分が好きなEDMの「型」が見えてきて、「いつ、何を鳴らせばいいか」がわかってきます。

基本的なEDMの曲構成

EDMの曲構成(Intro・Breakdown・Build Up・Drop)

↑EDMの4つの要素

分析を続けると、多くのEDMは次の4つの要素でできていることがわかるはずです。

  • Intro…ドラムとベースだけのループや、静かなピアノのコードから始まることが多いパート。(イントロの作り方)
  • Breakdown…DownerなどのFXとともに、ボーカル/リード/パッド/アルペジオ/プラック/ギターなどが登場することが多いパート。
  • Build Up…ライザーなどのFXやスネアロールで、ドロップに向けて盛り上がりを作るパート。(ビルドアップの作り方)
  • Drop…いちばん盛り上がるサビ。リードやベースが特に大きく鳴るパート。(ドロップの作り方)

この構成をスタート地点にして、自分でパターンクリップやオーディオクリップを作っていきましょう。何から作り始めるか迷う方は「曲作りの始め方」も参考になります。また、FL Studio 2025以降の「Loop Starter」でジャンルを選んでループを作り、そこから広げていくのもひとつの方法です。

サンプルとプリセットを選ぶ

曲の構成がわかったら、必要な音を集めます。私はSpliceで、ドラムやFX(効果音)はジャンル名で、シンセのプリセットは楽器名で検索して、イメージに合う音を探しています。

Spliceでドラムやエフェクトのサンプルを検索

↑ドラムやFXのサンプルを検索

Spliceでシンセのプリセットを検索

↑シンセのプリセットを検索

イメージに合う音が見つかったら、それを使ってクリップを作り、プレイリストに並べてミックスすれば完成です。

他人のプロジェクトファイルを分析する

「やっぱり自分で音を作るのは難しい」と感じた方は、他人のプロジェクトファイル(FLP)を開いて分析するのが最終手段です。Cymaticsでは無料のFLPファイルのリストを公開しているので、自分のFL Studioで開いて、曲の構造を見てみましょう。

他人のFLPファイルを分析する

↑他人のFLPを分析

無料のFLPは楽曲としての完成度はまちまちですが、「ここでベースとコードを鳴らすのか」「オートメーションはこう使うのか」など、初心者にとっては発見がたくさんあるはずです。

FL Studio テンプレート Pro

完成度の高いプロジェクトを分解して学びたい方には、私が作った「FL Studio テンプレート Pro」もあります。ミックスとマスタリングのチェーン、アレンジ、オートメーションが設定済みなので、プロジェクトを開いて中身を見るだけでも、曲の組み立て方の参考になります。

よくある質問

FL Studioは日本語で使えますか?

はい、日本語表示に対応しています。ただ、ネット上の解説やチュートリアル動画は英語表記のものが多いので、慣れるまでは英語表記のままにしておくと、調べものがしやすいです。

古いバージョンの解説記事や動画は参考になりますか?

基本操作はほとんど変わっていないので、十分参考になります。チャンネルラック、ピアノロール、プレイリスト、ミキサーという4つの画面の役割は、昔から同じです。ただし、ボタンの位置や見た目は少しずつ変わっているので、迷ったら公式マニュアルで最新の画面を確認してください。

どのエディションを買えばいいですか?

EDMを作るなら、オーディオの録音・編集ができるProducer Edition以上が使いやすいです。エディションごとの違いと購入方法は「FL Studioの購入方法」でまとめています。価格はセールなどで変わるので、販売ページで確認してください。

まとめ

  • 最初にオーディオ・MIDI・ファイル・書き出しの4つを設定する(書き出しはWAV・24bit以上が基本)
  • 曲作りは「クリップをプレイリストに並べる」→「ミキサーで整える」の2ステップ
  • 最初の1曲は、好きな曲の分析と他人のプロジェクトの分解から始めるのが近道

次は、EDM制作の全体像をつかめる「EDMの作り方 完全ガイド」や、作業を速くする「ワークフローを使って効率よく曲を作る方法」を読んでみてください。それではまた、次の記事でお会いしましょう。Happy Producing<3

次の1曲を、今日完成させよう
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カテゴリー: FL Studio