Suno、Udio、ElevenLabs、Gemini など、AI作曲ツールは選択肢が増えました。一方で、「どれなら商用利用できるのか」「作った曲を配信しても大丈夫か」は、ツールごとに条件が大きく違います。この記事では、2026年10月時点の主要ツールを商用利用・著作権・配信規約の観点で比較します。

先に結論をまとめます。DAWで仕上げて配信まで考えるなら、現状の第一候補は Suno の有料プランです。ただし訴訟や規約変更が続いているため、使う前と配信する前に、必ず各サービスの最新の規約を確認してください。この記事は法的助言ではなく、公開情報を整理したものです。

この記事でわかること

  • Suno・Udio・ElevenLabs・Gemini(Lyria)の違いと用途別の選び方
  • 各ツールのダウンロード・商用利用・訴訟やライセンスの状況(2026年10月時点)
  • 日本の著作権法(30条の4)と文化庁の考え方のポイント
  • 配信サービス・ディストリビューターのAIに関するルール

結論:用途別のおすすめAI作曲ツール

「曲を作ってDAWで仕上げ、配信したい」ならSunoの有料プラン、「動画やコンテンツのBGMを作りたい」ならElevenLabsのEleven Musicが候補です。用途ごとの目安は次のとおりです。

やりたいこと候補注意点
歌入りの曲を作り、DAWで仕上げて配信Suno(Pro / Premier)月のダウンロード上限あり。無料プランは商用不可
動画・配信・広告用のBGMElevenLabs Eleven Musicプランにより映画・TV・ゲームなどの用途が対象外
短いフレーズやアイデア出しを気軽にGemini アプリ(Lyria 3)生成は短い尺。商用条件はGoogleの規約で確認
Udioで作った曲を外部で使うUdio2026年10月上旬時点でダウンロード停止中と報道

AIで作ったデモをFL Studioで仕上げる具体的な手順は、Suno曲をFL Studioで仕上げる方法で解説しています。

この記事の手順は FL Studio Template Pro に設定済みです。 詳細を見る →

主要AI作曲ツールの比較表(2026年10月時点)

比べるべきポイントは「ダウンロードできるか」「商用利用の条件」「権利者とのライセンス状況」の3つです。音質や機能より先に、ここを確認しましょう。

ツールダウンロードステム商用利用権利者との関係
Suno有料プランは月の上限あり(Pro 20曲、Premier 60曲)。無料はトライアルのみPro / Premier(最大12ステム)有料プランで正規にダウンロードした曲は、規約の条件内で可WMG・BMG・Believe と提携。UMG・Sony とは係争中
Udio停止中(2026年10月上旬時点の報道)停止中外部での利用は現状困難UMG・WMG などと和解。ライセンス型の新サービスを準備中
ElevenLabs Eleven Music有料プランで可プランにより2〜6ステム有料プランで可。セルフサーブ型プランは映画・TV・ゲーム用途を除く権利者と提携して開発したと説明
Gemini(Lyria 3)アプリ内で生成・共有—Googleの利用規約・生成AIポリシーに従う既存作品との照合フィルターとSynthIDの透かしを導入

プランの内容と価格は頻繁に変わります。表は執筆時点の公開情報をもとにした目安です。最終判断は各公式ページで行ってください。

Suno:v6で何が変わったか

Sunoは2026年9月に規約とモデルを大きく更新しました。商用利用できるのは、有料プランで正規にダウンロードした曲です。

規約とダウンロードの変更(2026年9月3日〜)

  • 無料プランは、9月3日より前の登録者に生涯7回までのトライアルダウンロードがあるだけで、個人利用に限られます(Sunoヘルプ)。
  • Proは月20曲、Premierは月60曲までダウンロードできます。Premier で Suno Studio を使う場合は、Studio 上の作業に上限がありません。
  • 有料プランでダウンロードした曲は「商用・個人の両方で使える」と案内されています(Suno公式ブログ)。
  • 規約上、有料プランの加入者には出力の権利が譲渡されますが、商用利用の制限が付き、著作権の成立は保証されません。

v6 と権利者との関係

2026年9月9日に公開された v6 は、v6・v6-wild・v6-mini の3モデルです。Warner Music Group、BMG、Believe(TuneCore を含む)と提携し、ライセンスを受けたデータなどで一から学習したと説明されています(Music Business Worldwide)。

一方で、係争は終わっていません。主な状況は次のとおりです。

  • WMGは2025年11月にSunoと和解し、ライセンス契約を結びました。
  • UMGとSonyは2024年6月からの訴訟を続けています。2026年9月には、v6 も旧モデルの出力を使って学習しているとして、新たな訴えを起こしたと報じられています(Variety)。Sunoは主張を否定しています。
  • ドイツのGEMA、デンマークのKoda、カナダのSOCANなど、各国の著作権管理団体による訴えも報じられています。

訴訟の結果によっては、サービス内容や規約が変わる可能性があります。過去に作った曲の扱いも含め、Sunoの告知を定期的に確認してください。

Udio:ダウンロード停止と「囲い込み型」への移行

Udioは2025年10月30日にUMGと和解し、ライセンス型の新プラットフォームを2026年に始めると発表しました(Boston Globe)。その直後に生成曲のダウンロードを停止し、2025年11月にはWMGとも和解しています。

新しいプラットフォームは、作った曲をサービスの中で聴いたり共有したりする「walled garden(囲い込み型)」になると伝えられています。2026年10月上旬の時点では、ダウンロードは停止されたままで、新サービスの正式な開始も確認できていません。Udioで作った曲を配信やDAWでの仕上げに使いたい場合は、公式ヘルプで最新の扱いを確認してください。

その他のAI作曲ツール

Suno・Udio以外では、ライセンス面を前面に出したサービスが増えています。代表的なものを紹介します。

ElevenLabs Eleven Music

音声AIで知られるElevenLabsの音楽生成サービスです。公式ページでは、生成した曲は幅広い商用利用が認められ、条件はプランによって異なると説明されています。セルフサーブ型のプランでは、映画・TV・スタジオ制作のゲームでの利用が対象外です。下位プランではストリーミング配信が対象外とされる表記もあります(ElevenLabs Music)。ステム分離も有料プランで使えます。

Gemini アプリ(Google Lyria 3)

Googleは2026年2月、音楽生成モデル Lyria 3 を Gemini アプリにベータ版として追加しました。プロンプトから30秒程度の曲を作れます。生成された曲には、聞こえない電子透かし「SynthID」が埋め込まれます。特定のアーティストをそのまま模倣する指示はできない仕様です。商用利用の可否は、Googleの利用規約と生成AIポリシーで確認してください。

Stable Audio(Stability AI)

効果音やループ、BGM向けの生成サービスです。Stability AI は、ライセンス契約を結んだ音源ライブラリのデータで学習したと説明しています。プランごとの商用条件は公式サイトで確認しましょう。

DAWに入っているAI機能

曲を丸ごと生成するのではなく、制作を手伝うAIもあります。FL Studio 2025 では、ジャンル別のループを作る Loop Starter や、AIアシスタントの Gopher が加わりました。FL Studio 2026 では、Gopher がチャットの指示でプロジェクト内の操作を実行できるようになっています。自分で作る部分を残したい人には、こちらのほうが向いています。

著作権の基本:日本の法律と文化庁の考え方

AIと著作権は、「AIの学習」と「生成・利用」の2つの段階に分けて考えます。文化庁は「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)で、この整理を示しています。

学習段階:著作権法30条の4

著作物に表現された思想や感情を「享受」することを目的としない利用は、原則として権利者の許諾なく行えます。AIの学習のための情報解析もこれに含まれます。ただし、「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」は対象外です。

生成・利用段階:類似性と依拠性

生成した曲が既存の曲に似ている場合は、学習が適法かどうかとは別に、通常の著作権侵害と同じ基準で判断されます。ポイントは、既存の作品と似ているか(類似性)と、既存の作品をもとにしているか(依拠性)です。特定の曲名やアーティスト名をプロンプトに入れて、似た曲を狙うのは避けましょう。

AIで作った曲は自分の著作物になるか

文化庁の考え方では、AI生成物が著作物と認められるかは、人の「創作的寄与」があるかで判断されます。簡単な指示だけで生成したものは、著作物と認められにくい方向です。一方、生成後に人が編曲や演奏、歌詞の書き換えなどを加えれば、その部分に創作性が認められる可能性があります。

この資料は法的拘束力を持つものではなく、最終的な判断は裁判所が行います。文化庁は2024年7月に「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」も公開しています。収益化する曲や判断に迷うケースは、弁護士などの専門家に相談してください。他人の曲を素材に使う場合の基本は、リミックスと著作権の記事も参考になります。

配信サービス・ディストリビューターのルール

AIツールの規約で商用利用が認められていても、配信先のルールは別に確認が必要です。主なポイントをまとめます。

サービス主なルール(執筆時点)
Spotify2025年9月にAI関連のポリシーを発表。スパム対策の強化、無断で声をまねる楽曲の禁止、業界標準形式でのAIクレジット表示
DistroKidAIを使った曲も受け付けるが、権利の保有、なりすまし禁止、大量生成スパムの禁止が条件。アップロード時にAI利用の申告あり
TuneCore Japanヘルプに「AIを使用したリリースに関するガイドライン」を掲載。配信前に最新版を確認
YouTube Content ID自分が100%の権利を持つ音源に限られる。権利があいまいなAI曲の登録は避けるのが安全

Spotifyでは、2024年4月から直近12か月で1,000再生未満の曲は録音原盤の印税の対象外です(Music Business Worldwide)。AIで大量に曲を出しても、収益にはつながりにくい仕組みです。1曲ずつ仕上げて丁寧にプロモーションするほうが現実的です。配信の手順は個人で曲を配信する方法、Spotifyでの伸ばし方はSpotifyの攻略法を参照してください。

EDM制作でのAIツールの使い分け

EDMを自分の名前でリリースしたいなら、AIは「完成品を作る道具」より「下書きと素材を作る道具」として使うのがおすすめです。権利面でも音質面でも、そのほうが扱いやすくなります。

使い方具体例権利面のリスク
アイデア出しジャンルや雰囲気を変えて何曲か生成し、方向性を決める低い(参考にして自分で作り直す)
デモの土台生成曲のステムをDAWに読み込み、ドラムやベースを差し替える中(AIの規約と類似性の確認が必要)
そのままリリース生成した曲をほぼ無加工で配信する高い(著作物性が認められにくく、配信先の審査も厳しくなりやすい)

EDMは、キックやベースの音作り、ドロップの展開といった「音の設計」で差がつくジャンルです。生成曲をそのまま使うと、ほかのAI曲と似た仕上がりになりがちです。メロディやコードはAIの案を参考にしつつ、ドラムとベース、ドロップのシンセは自分で作る、という分担が現実的です。

よくある失敗は、生成を何十回も繰り返して「完璧な1曲」を探し続けることです。ある程度方向性が決まったら、DAWに移して自分の手で仕上げたほうが、結果的に早く完成します。曲作りの進め方は曲作りの始め方やワークフローの記事も参考にしてください。

AI作曲ツールを安全に使うためのチェックリスト

トラブルを避ける一番の方法は、「規約・権利・配信先」を毎回確認する習慣をつけることです。

  1. プランを確認:商用利用できるプランで生成し、正規の方法でダウンロードしたか。
  2. 規約の日付を記録:生成した日と、その時点の規約のスクリーンショットを保存しておく。
  3. 模倣を避ける:実在のアーティスト名・曲名・声を狙ったプロンプトを使わない。
  4. 似すぎていないか聴く:既存の曲に似たメロディや歌詞がないか確認する。
  5. 自分の手を加える:編曲、演奏、ミックスで人の創作的な関与を増やす。
  6. 配信先のルールを確認:AI利用の申告やクレジットの表記に正直に答える。

特に「自分の手を加える」は、音質と権利の両面で効果があります。コード進行やメロディを自分で作り直すなら、EDMにおすすめのコード進行も役立ちます。

よくある質問

Sunoの曲はYouTubeやSpotifyで収益化できますか?

有料プランで正規にダウンロードした曲は、Sunoの規約上は商用利用できると案内されています。ただし、配信先やディストリビューターのルールは別です。Content IDへの登録は、権利を100%持っていることが条件なので慎重に判断してください。

無料プランで作った曲を、後から有料プランに入って使えますか?

Sunoは「有料プランでダウンロードした曲は商用利用できる」と案内していますが、生成時のプランの扱いを含めて、細かな条件は規約で確認する必要があります。迷う場合は、有料プランに加入してから作り直すのが確実です。

AIで作った曲に著作権はありますか?

日本では、人の創作的寄与があるかで判断されます。プロンプトだけで生成した曲は、著作物と認められにくいと考えられています。自分で編曲や演奏を加えた部分は、著作物と認められる可能性があります。

AIを使ったことは公表しないといけませんか?

法律で一律に義務づけられているわけではありませんが、DistroKidなどはアップロード時にAI利用の申告を求めています。配信先のルールに従って正直に申告しましょう。

まとめ

  • DAWで仕上げて配信するなら、2026年10月時点では Suno の有料プランが現実的な選択肢。Udioはダウンロード停止中。
  • 日本では、学習は30条の4で原則許諾不要だが、生成物が既存曲に似ていれば侵害になりうる。AI生成物の著作物性は人の創作的寄与で判断される。
  • AIツールの規約と配信先のルールは別物。使う前と配信前に、各サービスの最新規約を必ず確認する。

次はSuno曲をFL Studioで仕上げる方法で、AIのデモを自分の作品に仕上げる手順を確認しましょう。ミックスの基本はEDMのmixのやり方にまとめています。

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