Spotifyのプレイリストに入る方法

Spotifyプレイリストに入りたい!

EDMマーケティング講座では、全11回にわたり、日本人の個人EDMプロデューサーが海外で活躍する方法を解説しています。7回目の今回は、個人プロデューサーがSpotifyで再生数を増やす方法・プレイリストに入る方法です。結論から言うと、リリースの7日以上前にSpotify for Artistsから公式プレイリストへピッチし、並行してレーベル系・個人のプレイリストにも地道に連絡するのが基本の戦略です。

この記事でわかること

  • Spotifyの印税の仕組みと「年1,000再生」ルール
  • 3種類のプレイリストと、それぞれに入る方法
  • Spotify for Artistsでのピッチ手順と、プロモーション機能
  • やってはいけない再生数の増やし方

Spotifyは今も最重要のプラットフォーム

Spotify有料会員数の推移グラフ

Statistaより(2015〜2018年)

Spotifyは、個人の音楽プロデューサーにとって今も一番重要なストリーミングサービスです。上のグラフはこの記事を最初に書いた2019年当時のSpotify有料会員数の推移ですが、その後も会員数は伸び続けています(最新の数字は上のStatistaのページで確認できます)。つまり、音楽は「個人でも稼げるビジネス」になっているということです。

ただし、Spotifyの印税は「1再生=いくら」という固定単価ではありません。Spotify全体の売上を、各楽曲の再生数のシェアに応じて権利者に分配する仕組みです(Spotify公式の解説)。そのため1再生あたりの金額は国やプラン、時期によって変わります。「再生数が増えるほど収入も増える」と理解しておけばOKです。

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知っておきたい「年1,000再生」ルール

2024年4月1日から、直近12か月の再生数が1,000回未満の曲には、録音原盤の印税が支払われなくなりました。個人プロデューサーにとっては大きな変更です。ポイントをまとめます。

  • 対象は録音原盤(マスター)の印税。作詞作曲側の印税(出版印税)は引き続き支払われます。
  • 再生数のほかに、ユニークリスナー数の下限もあります(具体的な数値は非公開)。
  • 不正な再生(ボットなど)が見つかった場合、レーベルやディストリビューターにトラック単位でペナルティの課金があります。

つまり、少ない再生数の曲を大量にばらまくより、1曲1曲をしっかりプロモーションして年1,000再生を超えるほうが意味がある、ということです。リリースのペースを決めるときにも意識しておきましょう。

何が再生数を生み出すのか?

再生数を生み出す仕組みのイメージ

「月に何百万再生なんて、多すぎない?」と思った方もいるでしょう。確かに、YouTubeやブログでは一回の投稿で1万Viewを超えるのも大変です。

しかし、音楽というコンテンツは意外に再生数稼ぎに強いです。なぜなら「日常的に繰り返し消費されるコンテンツ」だからです。好きなアーティストの曲は1日に何回も、毎日でも聴きますよね。YouTubeの動画やブログ記事は、大抵1回見たら終わりです。

つまり、質の高い曲を作ること自体が、多くの再生数を生み出すのです。ただ、これはある意味当たり前の話です。ここからは具体的なマーケティングのテクニック、プレイリストの活用について解説します。「プレイリストって何?」という方は、SpotifyのEDM/ダンスのページを見てみましょう。

SpotifyのEDMジャンルページ

そこには、Spotifyの編集チームなどが選んだ曲を集めたプレイリストが並んでいます。

フォロワー数が表示されたSpotifyプレイリスト

これらのプレイリストには「フォロワー」がいて、上の画像のように、世界中の数十万・数百万人が日常的に再生しています。大きなフォロワーを持つプレイリストに入ることができれば、世界中で自分の曲が再生され続ける仕組みを作ることができます。

プレイリストは3種類。入り方もそれぞれ違う

Spotifyプレイリストの種類

プレイリストは、作る人によって次の3種類に分かれます。

種類作っている人入る方法
Spotify公式プレイリストSpotifyの編集チーム/アルゴリズムSpotify for Artistsからピッチ
大企業(レーベル系)プレイリスト大手レコード会社のプレイリストブランド担当者を探して連絡
個人作成プレイリストYouTubeチャンネル運営者、DJ、ファンなど直接連絡してお願いする

Spotify公式プレイリスト

Spotifyが作っているプレイリストは、アプリのトップやおすすめに表示されるため、最も多くの再生数を生み出します。公式プレイリストには2種類あります。

1つ目は、アルゴリズムによる自動おすすめプレイリストで、Release RadarやDiscover Weeklyなどがあります。ユーザーが再生したジャンルや時間帯に応じて、自動的におすすめ曲が決まります。自分のフォロワーのRelease Radarには、後述のピッチをすることで新曲が届きやすくなります。

Spotify編集部プレイリストの例

編集部プレイリストの例

2つ目は、Spotifyの編集者がテーマに沿って選曲するプレイリストです。上の画像のようなもので、見かけたことがある方も多いでしょう。

公式プレイリストへのピッチ方法

Spotify for Artistsのピッチ画面(2019年当時)

2019年当時の画面。現在はデザインが変わっています

公式プレイリストに曲を届ける方法は、Spotify for Artistsからの「ピッチ(Pitch)」です。手順は次のとおりです(Spotify公式ヘルプ)。

  1. ディストリビューター経由で、リリース日より前に曲を納品しておく
  2. Spotify for Artistsにログインする
  3. 「Music」→「Upcoming」から未発表の曲を選ぶ
  4. ジャンル、ムード、楽器、曲のストーリーなどのフォームを埋めて送信する

注意点は次のとおりです。

  • リリースの7日以上前にピッチすると、フォロワーのRelease Radarに追加されます。編集者が聴く時間を確保するためにも、余裕を持って納品しましょう。
  • ピッチできるのは一度に1曲だけ。その曲が公開されたら、次の曲をピッチできます。
  • コンピレーションや、自分がフィーチャリング参加の曲はピッチできません。

フォームは詳しく書くほど有利になります。英語で書く場合は、EDMプロデューサーに英語力は必要か?の記事も参考にしてください。リリース日の決め方や配信の手順は、#4 個人で曲を配信する方法で解説しています。

大企業(レーベル系)プレイリスト

Sonyのプレイリストの例

Sonyが作ったプレイリストの例

世界の音楽業界は、大きく3つの企業グループが大きなシェアを持っています。

  • Universal
  • Sony
  • Warner

これらの会社はSpotifyとは別の企業なので、それぞれ独自のプレイリストブランドを持っています。代表的なのは次の3つです。

  • Digster(Universal)
  • Filtr(Sony)
  • Topsify(Warner)

フォロワー数の多いプレイリストも多く、入ることができれば大きな影響があります。ただし、ブランドの運営状況は変わることがあるので、Spotify上で最近も更新されているかを確認してからアプローチしましょう。

レーベル系プレイリストへのアプローチ方法

Spotifyでプレイリストブランドを検索した画面

まずFiltrやDigsterなどのブランド名をSpotifyで検索します。すると、地域ごとのアカウントが出てくるはずです。その中から、自分の曲に合うプレイリストを持っている地域を探しましょう。例えば、ドイツのベルリンのプレイリストに入りたいとします。

次にLinkedInで、そのプレイリストを運営している会社(Filtrなら Sony Music)を検索し、地域で絞り込んで、ヒットした人のプロフィールを1つずつ確認します。「プレイリスト担当」などと書いてあればラッキーです。丁寧に連絡してみましょう。

担当が分からない場合は、「プレイリスト担当の方をご存じでしたら教えていただけますか」という短くシンプルなメッセージを送る方法もあります(Cold Pitchingと呼ばれます)。くれぐれも失礼のないように、同じ人に何度も送らない・長文にしないことを守りましょう。正直、これは運の要素も大きいので、根気よく続けるしかありません。

個人作成プレイリスト

個人作成プレイリストの例

最後は、誰でも作れる普通のプレイリストです。この中には、有名なYouTubeチャンネルやDJが作っていて、意外とフォロワーが多いものがあります。上は、MrSuicideSheepのプレイリストです。

入る方法は、お察しの通り「直接連絡してお願いする」です。できればメールで、難しければInstagramなどのSNSで連絡します。大きなチャンネルほど反応がないことも多いですが、やってみる価値はあります。音楽以外でも、有名なブロガーやスポーツ選手のプレイリストが意外とフォロワーを持っていることもあります。

よくある失敗が、「お金を払えば再生数を保証する」というプレイリスト業者に頼むことです。ボットによる不正再生と判断されると、曲の削除やディストリビューターへのペナルティにつながることがあります。再生数を「買う」サービスは避け、本当に聴いてくれるリスナーがいるプレイリストを選びましょう。

Spotify for Artistsのプロモーション機能も活用しよう

プレイリスト以外にも、Spotify for Artistsにはプロモーションに使える機能があります。代表的なものは次のとおりです。利用には実績や地域などの条件があるので、自分のアカウントで使えるかを確認してください。

  • Discovery Mode:指定した曲がラジオや自動再生でおすすめされやすくなる機能。その代わり、対象の再生分は印税率が下がる仕組みです。
  • Marquee:新曲を、興味を持ちそうなリスナーに全画面で表示する有料の広告機能です。
  • Countdown Pages:リリース前にファンがプリセーブ(事前保存)できるページ。リリース日に自動でライブラリに追加されます。

スマホのSpotify for Artistsアプリを入れておけば、再生数やリスナーの地域もすぐに確認できます。

よくある質問

Spotifyのプレイリストに入るのにお金はかかりますか?

公式プレイリストへのピッチは無料です。レーベル系や個人のプレイリストも、正当な方法なら基本的に無料で連絡できます。「掲載料」を求められる場合は、不正な再生につながる業者でないか注意してください。

1,000再生に届かない曲は意味がないのですか?

録音原盤の印税は発生しませんが、ファンを増やしたり、次の曲のRelease Radarにつなげたりする意味はあります。とはいえ収益を考えるなら、1曲ごとのプロモーションに力を入れて1,000再生を超えることを目標にしましょう。

ピッチすれば必ずプレイリストに入りますか?

いいえ、選ばれるかどうかは編集者次第です。ただし7日以上前にピッチすれば、少なくともフォロワーのRelease Radarには届きます。

まとめ

  • Spotifyの印税は再生数のシェアで分配される。年1,000再生未満の曲は原盤印税の対象外
  • 公式プレイリストは、リリースの7日以上前にSpotify for Artistsからピッチする
  • レーベル系・個人のプレイリストには丁寧に直接連絡。再生数を「買う」業者は避ける

Spotifyのプレイリストを活用して、ぜひアーティストとして成長してください。次は、他のプラットフォームの攻略法もチェックしてみてください。

それではまた、次回の記事でお会いしましょう。Happy Producing<3

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