
曲の背景を作る!
美しいPadは、「ゆっくり立ち上がる柔らかい音」をシンセで作り、レイヤーとリバーブで広げ、他の楽器とぶつからない帯域に置くことで作れます。Padはメインの楽器ではありませんが、優しくコードを鳴らして曲のテクスチャーや空気感を作る、楽曲の「背景」となる要素です。この記事では、Padの基本の作り方と、プロが使う3つのコツを紹介します。
この記事でわかること
- シンセでPadを作る基本の手順(波形・エンベロープ・フィルター・エフェクト)
- shallouに学ぶ、レイヤーとリバーブを使ったPad作りのコツ
- Foley(環境音)とドローンサウンドで奥行きを出す方法
- Padをミックスで濁らせないための注意点
この記事の手順は FL Studio Template Pro に設定済みです。 詳細を見る →
Padの基本の作り方(シンセでの5ステップ)
Padは、倍音の多い波形を重ね、アタックとリリースを長くして、フィルターで柔らかくするのが基本です。Serum 2やVital、FL Studio付属のシンセなど、どのシンセでも同じ考え方で作れます。
- 波形を選ぶ:ノコギリ波(Saw)を2〜3つ重ね、少しだけデチューン(音程をずらす)して厚みを出します。
- エンベロープを設定する:アタックを長め(数百ms程度)、リリースも長めにして、ふわっと始まりふわっと消える音にします。
- ローパスフィルターをかける:高域を少し削って柔らかくします。カットオフをLFOやオートメーションでゆっくり動かすと、音に動きが出ます。
- Chorusで広げる:音をカラフルかつワイドにします。
- リバーブとディレイで空間を作る:Padはリバーブを多めにしても違和感が出にくい音です。
シンセの基本操作は「Serumの使い方」、おすすめのシンセは「おすすめのシンセサイザー音源」で紹介しています。
コツ①:shallouに学ぶ、レイヤーとリバーブ
Padをうまく使って活躍したEDMプロデューサーといえば、shallouではないでしょうか。EDMでは珍しい静かなサウンドで、多くの人がハマったと思います。shallouは以前、LANDRのブログのインタビューでPadの作り方を語っていました(現在その記事は公開されていません)。要点をまとめると、次のような内容です。
- Padはレイヤーがすべて:ピアノやグロッケン、フルートなどをオーディオ化し、ドローンのようになるまで大きく引き伸ばして重ねる。
- リバーブを100%ウェットにしてサイドチェーン:残響だけにした音にサイドチェーンをかけると、他の楽器となじみつつ、曲に存在感と厚みが出る。自分の声でハーモニーを重ねて、オーガニックな質感を出すこともある。
- 空いている帯域を埋める:サビが濁っているときは、グロッケンやピアノのアルペジオに強いディレイとリバーブをかけ、低域を大きくカットして、幻想的な質感を足す。
- リバーブの後にディストーションやコンプ:エフェクトの順番を入れ替えると、面白い効果が生まれる。
使っているツールとしては、NIのMassiveやFM8、Logic内蔵のシンセやサンプラーにValhallaのリバーブをかける方法などを挙げていました。特別なシンセがなくても、「重ねる」「引き伸ばす」「残響を足す」という考え方は、FL Studioの純正プラグインだけでも実践できます。
Padのシンセ的な作り方をさらに詳しく知りたい方は、LANDRのSynth Pads: How to Create Atmospheric Synth Sounds(英語)も参考になります。
コツ②:Foley(環境音)を活用する
空気感をさらに深めたいときに有効なのが、Foley(フォーリー)サンプルです。Foleyとは、日用品を叩いた音や雨・風の音などの「環境音」のことです。Padの後ろにうっすらと環境音を重ねると、聴く人が情景をイメージしやすくなり、よりエモーショナルな音になることがあります。
使い方のポイントは次の通りです。
- 音量はかなり小さめに:「言われると気づく」くらいがちょうど良いです。
- ハイパスで低域をカット:KickやBassの邪魔をしないようにします。
- リバーブを共有する:Padと同じリバーブに送ると、同じ空間で鳴っているようにまとまります。
環境音やノイズで質感を上げる方法は「ノイズを使って音質を上げる方法」でも解説しています。
コツ③:ドローンサウンドを作る
↑巨大な音場を作りたい時に
ドローンサウンドとは、宇宙などをイメージさせる、広大な音場を表現する持続音のことです。shallouが話していた「オーディオを大きく引き伸ばしたドローン」の作り方を、上の動画でNigel GoodがAbsynthを使って実演しています。
FL Studioで試すなら、次の手順が手軽です。
- ピアノやベルなどのフレーズをオーディオに書き出す
- オーディオクリップのタイムストレッチで、元の何倍もの長さに引き伸ばす
- リバーブを深めにかけ、ローパスフィルターで柔らかくする
オーディオクリップの扱い方は「FL Studioのオーディオクリップとは?」で解説しています。
Padをミックスで濁らせないための注意点
Padは音域が広いので、低域と中低域を整理しないと、すぐにミックスが濁ります。次の3つを意識しましょう。
- ハイパスEQで低域をカット:ベースやKickの帯域(目安として200Hz前後から下)は、Padでは鳴らさないようにします。
- サイドチェーンをかける:Kickが鳴るたびにPadを下げると、Kickが聴こえやすくなり、Future Bassらしいうねりも出ます。FL Studioなら「Peak Controller」で手軽にかけられます。
- ステレオで左右に広げる:Padは左右に広げ、中央はボーカルやリードに空けておきます。
よくある質問
Padにはどんなコード進行が合いますか?
Padは長い音でコードを支えるので、1小節に1コード程度のゆったりした進行がよく合います。定番の進行は「EDMのコード進行おすすめ5選」を参考にしてください。
Padの音量はどれくらいにすればいいですか?
Padは背景なので、単体で聴いて「少し小さいかな」と感じるくらいが目安です。メロディやボーカルの邪魔をしていないか、全体で聴いて確認しましょう。
まとめ
- Padは、デチューンした波形・長いアタックとリリース・ローパスフィルター・空間系エフェクトで作る
- レイヤー、100%ウェットのリバーブ+サイドチェーン、Foley、ドローンで奥行きを出す
- ハイパスEQとサイドチェーンで、他の楽器とぶつからないように置く
Padと相性の良いジャンルは「Future Bassとは?」「Ambientとは?」をどうぞ。今回紹介したコツで、楽曲に深みを作れることを祈っています。それではまた、次の記事でお会いしましょう。Happy Producing<3

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