EDM制作の音楽理論

EDMを作るのに、難しい音楽理論を全部覚える必要はありません。最初に押さえるべきなのは、「スケール(使っていい音のセット)」「キー(曲の中心の音)」「コード(音の重ね方)」の3つだけです。この記事では、この3つを楽譜が読めない人でも分かるように解説し、FL Studio のピアノロールで音を外さないための設定方法も紹介します。

この記事でわかること

  • スケールとキーの意味と、EDMでよく使われるマイナースケール
  • コードの基本と、キーに合ったコード(ダイアトニックコード)の見つけ方
  • FL Studio のピアノロールで音を外さない設定とコード入力のコツ

音楽理論とは?

音楽理論とは、基本的には「どの音を使えば外れないのか」を整理したルールのことです。

さらに先に進むと、「どんな雰囲気にしたいのか」といった、曲づくりそのものにも関わってきます。ある意味では、音楽にとって一番重要なトピックとも言えます。音楽理論は世界中のミュージシャンが共有している「共通言語」なので、覚えておくと海外のチュートリアルもぐっと理解しやすくなります。

この記事では、音楽理論の中でも特に大事な次の3つを説明していきます。

  • スケール・キー
  • コード
  • コード進行

この記事の手順は FL Studio Template Pro に設定済みです。 詳細を見る →

スケールとキー

Cマイナースケールの鍵盤

↑Cマイナースケール

キーとは、曲の中心になる音(主音)のことで、ド(C)からシ(B)まで、半音ずつ12種類あります。

スケールとは、その主音から始まる「使っていい音の並び方のパターン」のことです。例えば「Cマイナー」なら、「ドを中心に、マイナースケールの並び方で選んだ7つの音」を使う、という意味になります。

メジャースケールとマイナースケール

最もよく使われるスケールは、明るい響きのメジャースケールと、切ない・暗い響きのマイナースケールの2つです。どちらも、隣り合う音の間隔(全音=鍵盤2つ分、半音=鍵盤1つ分)のパターンで決まります。

スケール音の間隔のパターン例(Cから始めた場合)
メジャー全・全・半・全・全・全・半ド レ ミ ファ ソ ラ シ
(ナチュラル)マイナー全・半・全・全・半・全・全ド レ ミ♭ ファ ソ ラ♭ シ♭

このパターンさえ覚えておけば、どのキーでもスケールを作れます。EDMでは、ほとんどの曲がマイナースケールで作られています。切なさと力強さを同時に出しやすいからです。

ちなみに、Aマイナー(ラ シ ド レ ミ ファ ソ)と Cメジャー(ド レ ミ ファ ソ ラ シ)は、使う音がまったく同じです。このような関係を「平行調」と呼びます。白鍵だけで弾ける Aマイナーは、初心者が最初に練習するキーとしておすすめです。

スケールで曲の雰囲気が変わる

EDMでは、ときどきアラビア風(中東系)のスケールや、ブラジル風(南米系)のフレーズを使った曲も見られます。

上の曲のように、楽曲全体の雰囲気をガラッと変えてくれるのがスケールです。いつもと違う雰囲気にしたいときは、スケールを変えてみるのも1つの手です。

FL Studio でスケールを使う方法

FL Studio のピアノロールには、選んだキーとスケールを表示したり、音をスケールに合わせたりする機能があります。

FL Studioのピアノロールのスタンプ(Stamp)メニュー

  1. キーとスケールを選ぶ:ピアノロールのツールバーにある「Snap to scale」アイコン(音符のアイコン)を右クリックし、左側で主音(Tonic)、右側でスケールを選びます。
  2. スケール外の音を暗く表示する:同じメニューの「Piano roll shading」を「Auto」にすると、選んだスケールに含まれない音の行が暗く表示されます。
  3. 音をスケールに吸着させる:「Snap to scale」アイコンを左クリックしてオンにすると、ドラッグしたノートがスケール内の音に吸着します(すでに置いてあるノートは、動かすまで自動では変わりません)。
  4. スタンプでコードやスケールを置く:Chord Stamp(スタンプ)ツールでは、コードやスケールの形を選んでクリックするだけで、まとめてノートを配置できます。いろいろなスケールを表示させて遊んでみましょう。

メニューの位置や名前はバージョンによって少し違うことがあるので、詳しくは FL Studio 公式マニュアル(Piano roll)も確認してください。ピアノロールの基本操作は「FL Studio のピアノロールとは?」で解説しています。

FL Studio テンプレート Pro を活用する

FL Studioテンプレート Proのスケールハイライト

FL Studio テンプレート Proでは、あらかじめEDM向けのスケールがピアノロールの背景でハイライトされています。「楽譜が全然読めない」「スケールはまだよく分からない」という方も、白い背景の部分に打ち込めば、スケールから外れずにメロディを作れます。

コードとは

Cマイナー7thコードの鍵盤

↑Cマイナー7thコード

コードとは、2〜5個程度の音を同時に鳴らす組み合わせのパターンのことです。基本の分類は次の2つです。

  • 明るいサウンドのメジャーコード:主音+4半音上+7半音上(例:C = ド・ミ・ソ)
  • 暗いサウンドのマイナーコード:主音+3半音上+7半音上(例:Cm = ド・ミ♭・ソ)

コードの「呼び名」はほかにもたくさんありますが、どれも「メジャー/マイナーコードに、どんな味付けをするか」という目で見ると分かりやすくなります。例えば、7th を加えると華やかで大人っぽい雰囲気に、sus2 にすると浮遊感のある前向きな響きになります。

キーに合ったコード(ダイアトニックコード)

どのコードを使えばいいか迷ったら、スケールの音だけで作ったコードを使えば外れません。これをダイアトニックコードと呼びます。スケールの各音から「1つ飛ばし」で3つ音を重ねるだけで作れます。

キー使えるコード(ダイアトニックコード)
AマイナーAm / Bdim / C / Dm / Em / F / G
CマイナーCm / Ddim / E♭ / Fm / Gm / A♭ / B♭

結局大事なのは、暗記よりも実戦で使えることです。DAWのピアノロールでいろいろなコードを鳴らしてみて、少しずつ耳で覚えていくのがおすすめです。

良いコード進行を作るコツ

Hooktheory

コード進行とは、コードをどの順番で鳴らすかのことで、曲の音楽的な土台になります。コード進行が決まれば、ギターやピアノで伴奏ができるようになります。

ただ、最初は適当にコードを選んで並べても、なかなか良い響きになりません。おすすめは、まず定番の進行から始めることです。例えば Aマイナーなら、Am → F → C → G は多くのEDMやポップスで使われている王道の進行です。人気のコード進行は「EDMにオススメのコード進行5つと、オリジナルのコード進行の作り方」で詳しく紹介しています。

便利なツールとしては Hookpad もあります。ヒット曲でよく使われているコード進行を調べたり、クリック操作でコード進行を組み立てたりできます。無料で試せる範囲もあるので、曲作りの前のインスピレーション集めにおすすめです(利用できる機能は公式サイトで確認してください)。

Hookpadの画面

FL Studio を使っているなら、ピアノロールの「Tools」アイコンを右クリックして開く Chord Progression ツールで、キーに合ったコード進行を手早く入力することもできます。

よくある質問

楽譜が読めなくてもEDMは作れますか?

作れます。DAWのピアノロールは鍵盤と音の長さが目で見えるので、楽譜を読めなくても問題ありません。スケールのハイライト機能を使えば、音を外す心配も減らせます。

どのキーで曲を作ればいいですか?

決まりはありません。最初は白鍵だけで弾ける Aマイナーがおすすめです。慣れてきたら、ボーカルの音域やベースの低さに合わせてキーを変えてみましょう。

スケール外の音を使うのはダメですか?

ダメではありません。スケール外の音は、使い方しだいでスパイスになります。まずはスケール内で作れるようになり、慣れてきたら少しずつ外した音も試してみましょう。

まとめ

  • スケールは「使っていい音のセット」、キーは「曲の中心の音」。EDMはマイナースケールが多い
  • コードに迷ったら、スケールの音だけで作るダイアトニックコードを使う
  • FL Studio のスケール表示や Chord Stamp を使えば、理論が苦手でも外れない打ち込みができる

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