EDMのイントロの作り方

EDMのイントロは、「何から始めるか」を7つの定番パターンから選ぶだけで、ぐっと作りやすくなります。この記事は、EDMのアレンジの作り方を具体例とともに紹介する「アレンジメント講座」の第1回です。実際の曲を聴きながら、イントロのアイデア7選と、選び方・作り方のコツを解説します。

この記事でわかること

  • EDMのイントロの定番パターン7つと、実際の曲の例
  • 曲の目的(配信用・DJ用)に合わせたイントロの選び方と長さの目安
  • FL Studioでイントロを作るときの具体的なコツ

イントロのアイデア7選(早見表)

まずは7つのパターンを一覧で比べてみましょう。どれも、プロの曲でよく使われている手法です。

パターン向いている曲難しさ
1. ピアノのコードポップ寄りのEDM、ボーカル曲やさしい
2. ドラムループクラブ向け、DJがつなぐ曲やさしい
3. フェードインループ中心の曲、Lo-fi、インストやさしい
4. ローパスフィルターハウス系、盛り上がる曲全般ふつう
5. アンビエンス(環境音)世界観を見せたい曲ふつう
6. ドロップの要素を少しだけ印象的なリフがある曲やさしい
7. インパクト勢いのある曲、短い曲ふつう

この記事の手順は FL Studio Template Pro に設定済みです。 詳細を見る →

1. ピアノのコードで始める

The Chainsmokers – Closer ft. Halsey

メインストリームのポップ寄りのEDMでとても多いのが、ピアノのコードを鳴らして始めるパターンです。The Chainsmokersなどがよく使っています。個人的には、イントロのアイデアに困ったら使ってもいいと思いますが、使いすぎるとYouTubeで

ピアノのイントロについてのYouTubeのコメント

10 Things The Chainsmokers Can’t Live Without | GQ

のように、ネタにされることもあります。ありきたりに聴こえやすいので、使いどころには注意しましょう。

2. ドラムループで始める

Marcus Schossow & Arston – The Universe

クラブミュージックで特に多い手法です。ドロップで使うドラムループとベースだけを鳴らして始めます。DJが前の曲からつなぎやすくなるのが大きなメリットです。

ただ、配信で聴かれることが中心の曲では、ドラムだけのイントロが長いと飛ばされやすくなります。クラブ向けのバージョン(Extended Mix/Club Edit)でなければ、最近はそれほど長くする必要はないでしょう。

3. フェードインで始める

H E R B – Save Me

インストのHip Hopなど、ループが中心の音楽で多い手法です。上の曲のように、すぐにメインのテーマが始まる場合は、音量のオートメーションでフェードインさせるだけでも、まったく違和感がありません。ただ、ドロップが激しい曲では、フェードインだけだと物足りないかもしれません。

4. ローパスフィルターを開いて始める

Cash Cash – Overtime

これも定番の手法で、ドロップと同じ素材にローパスフィルター(高い音をカットするフィルター)をかけておき、それを少しずつ開いていきます。上のOvertimeでは、フィルターという基本的な技術だけで、最初の盛り上がりをうまく作っています。さすがプロだと感じる使い方です。

5. アンビエンス(環境音)で始める

WRLD – Triumph

私が個人的にいちばん好きな手法です。街の雑踏、波の音、小鳥のさえずりなどの環境音を使って、聴き手を一気に曲の世界に引き込みます。上のWRLDの初期の曲では、イントロから近未来的な雰囲気が全開で、最高です。アンビエンスは誰でもオリジナリティを出しやすいので、おすすめです。環境音などの素材は「無料サンプルパックのリスト」で探せます。

6. ドロップの要素を少しだけ使って始める

Illenium – No Time Like Now

手軽でとてもおすすめの手法です。ドロップで使う要素のうち、1〜2個だけを先に聴かせます。No Time Like Nowでは、印象的なギターのリフをイントロに使っています。サビの「予告編」になるので、曲全体のまとまりも良くなります。

7. インパクトで始める

nanobii – Pineapple Spaceship

最後は、インパクトのある音から始めるパターンです。コードを強くヒットしたり、インパクト音やダウンリフター、シンバルなどのFXを使ったりして、印象的なイントロを作ります。FXの種類は「FX(エフェクト)の種類と使い方」で紹介しています。

イントロの選び方と長さの目安

イントロのパターンは、「その曲がどこで聴かれるか」で選ぶのがいちばん確実です。

  • 配信サービスやSNSで聴かれる曲…最初の数秒で興味を持ってもらう必要があります。ピアノのコード、ドロップの要素、インパクトなど、早めに曲の「顔」が見えるパターンがおすすめです。
  • DJにかけてもらいたい曲…ドラムループやフィルターで、つなぎやすいイントロを作ります。配信用とは別に、イントロを長くしたExtended Mixを用意するのもひとつの方法です。

長さは、4つ打ちのEDMなら8小節か16小節など、8の倍数で区切ると展開が自然に聴こえます。迷ったら、好きな曲のイントロが何小節あるかを数えてみましょう。曲の分析方法は「FL Studioの使い方」のパート3で紹介しています。

FL Studioでイントロを作るコツ

FL Studioでは、オートメーションクリップを使うと、ほとんどのイントロのパターンを簡単に作れます。

  1. フェードイン…ミキサーの音量フェーダーを右クリックし、「Create automation clip」で音量を少しずつ上げるカーブを描きます。
  2. フィルター…ミキサーのトラックにフィルター(Fruity FilterやEQ)を挿し、カットオフのオートメーションで少しずつ開きます。
  3. ドロップの要素を使う…ドロップのパターンを複製(Make unique)して、イントロ用に一部の楽器だけを残します。

オートメーションの基本は「オートメーションとは?」、逆再生のFXを使ったイントロは「Reverse(リバース)の使い方」で解説しています。

よくある質問

イントロは最初に作るべきですか?

必ずしも最初に作る必要はありません。むしろ、ドロップを先に作ってから、その要素を使ってイントロを作るほうが、曲全体にまとまりが出やすいです。曲作りの始め方は「曲作りの始め方」も参考にしてください。

複数のパターンを組み合わせてもいいですか?

もちろんです。たとえば「アンビエンス+フィルターを開いていくコード」のように組み合わせると、オリジナリティのあるイントロになります。

まとめ

  • イントロは、7つの定番パターンから選ぶと作りやすい
  • 配信向けなら早めに曲の「顔」を見せ、DJ向けならつなぎやすさを優先する
  • FL Studioではオートメーションクリップを使えば、フェードインやフィルターのイントロを簡単に作れる

以上で、イントロの具体例の解説は終わりです。ぜひ自分だけのオリジナルのイントロを考えてみてください。次回は「#2 ビルドアップの作り方」、その次は「#3 ドロップの作り方」です。それではまた次回、お会いしましょう。Happy Producing<3

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