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DTM用のPCデスクとシンセサイザー

EDM制作用のシンセサイザー(VSTプラグイン)で迷ったら、まずは無料のVitalで音作りに慣れ、本格的に買うならSerum 2を選べば大きく外すことはありません。この記事では、シンセの基本(3つの波形)を押さえたうえで、2026年時点で定番のシンセ8種類の特徴と選び方を紹介します。ピアノやストリングスなど、シンセ以外の音源はピアノ・ギター・オーケストラ音源のおすすめで別にまとめています。

この記事でわかること

  • シンセサイザーとは何か、まず覚えるべき3つの波形(Sine / Saw / Square)
  • Serum 2・Vital・Pigments 7・Phase Plant・Massive X・Sylenth1・Spire・Nexus の特徴の違い
  • 予算・ジャンル・PCスペック別のシンセの選び方

結論:迷ったらこの3つから選ぶ

最初の1台は「Vital(無料)」「Serum 2」「Pigments 7」のどれかを選ぶのがおすすめです。どれもウェーブテーブル方式(波形を切り替えながら音色を変化させる方式)を中心にした万能型で、EDMで使うベース・リード・パッド・プラックをひと通り作れます。

シンセタイプ価格帯向いている人
Serum 2(Xfer Records)ウェーブテーブル+サンプル/グラニュラーなどのハイブリッド有料1台で何でもこなしたい人。EDM Matrixの一番のおすすめ
Vitalウェーブテーブル無料(有料プランあり)まずお金をかけずに始めたい人
Pigments 7(Arturia)6種類のエンジンを組み合わせるハイブリッド有料(無料版 Pigments Play あり)見た目でわかりやすく、幅広い音を作りたい人
Phase Plant(Kilohearts)セミモジュラー有料音作りを自由に組み立てたい中級者以上
Massive X(Native Instruments)ウェーブテーブル有料(Komplete にも収録)重厚なベースや動きのある音を作りたい人
Sylenth1(LennarDigital)バーチャルアナログ有料クリーンで温かいシンセサウンドが欲しい人
Spire(Reveal Sound)バーチャルアナログ系有料高音域のプラックやトランス系の音が好きな人
Nexus(reFX)サンプル再生中心のROMプラー有料(拡張は別売)音作りより、すぐ使えるプリセットが欲しい人

価格はセールで大きく変わるので、購入前に各販売ページで最新の価格を確認してください。

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シンセサイザーとは何か

シンセサイザーとは、電子的に音を生み出す楽器のことです。ピアノやギターのように実際の楽器を録音した音ではなく、波形を一から合成して音を作ります。

deadmau5のスタジオに並ぶハードウェアシンセサイザー

deadmau5のスタジオのシンセサイザー

VSTプラグインのように完全にPC上で動くソフトウェアシンセもあれば、上の写真のように実際に触れるハードウェアのアナログシンセもあります。制作にこだわりが強くなるほど、「Prophetじゃないとだめ」「自分のサウンドはMoogが隠し味」のようになっていきます。ただ、初心者のうちは機種の違いはほとんど分かりません。まずは基本の3つの波形を覚えることから始めましょう。

まず覚えたい基本の3波形

シンセサイザーが出す音は、実用的にはSine・Saw・Squareの3つを知っておけば十分です。どのシンセを買っても、この3つが音作りの出発点になります。

Sine(サイン波)

Sine波の波形

Sine Wave

Sine波は、倍音を含まない柔らかい音が特徴です。コードならRhodesのようなエレクトリックピアノ風に、単音ならSub BassやBellとして使うことが多いです。

Saw(ノコギリ波)

Saw波の波形

Saw Wave

Saw波は、倍音が多く派手で激しい音が特徴です。Detuneして重ねればSupersawに、フィルターをかければPluckになり、コードにもよく使います。

Square(矩形波)

Square波の波形

Square Wave

Squareは、ロボットボイスやゲーム音楽のような、少し中が空洞になった音が特徴です。ビブラートをかけてLeadとして使うことが多いです。

あわせて覚えたい4つの用語

波形のほかに、シンセの基本知識として次の4つがあります。ほとんどのシンセに付いている機能です。

  • Detune(ディチューン):同じ音をわずかにずらして重ね、厚みと広がりを出す機能
  • フィルター:特定の周波数を削って、音の明るさを変える機能
  • ADSR(エンベロープ):音の立ち上がりから消えるまでの音量変化を決める機能
  • LFO:音量やフィルターなどを周期的に揺らす機能。ワブルベースなどに使います

具体的な使い方は、ベースの作り方、リードの作り方、プラックの作り方、パッドの作り方の各記事で解説しています。

シンセを選ぶときの3つのポイント

シンセ選びで大事なのは、プリセットの多さ・PCへの負荷・体験版の有無の3点です。

1. プリセットが多く出回っているか

シンセを買うなら、プリセット(音色データ)が多く売られているシンセを選びましょう。プリセットが少ないシンセを選ぶと、自分で一から音作りするしかなくなります。それはそれで勉強になりますが、プロが作ったプリセットを開いて中身を見ることで、自分の音作りの技術も上がっていきます。

Spliceでプリセットが配布されているシンセの一覧(2019年当時)

2019年当時、Spliceでプリセットが配布されていたシンセ

上の画像は、Spliceでプリセットが配布されていたシンセの一覧(記事を最初に書いた2019年当時のもの)です。今は対応状況が変わっているので、気になるシンセがあればSpliceやプリセット販売サイトで検索して、どれくらい出回っているかを確認してみてください。この記事で紹介するSerum 2やVitalは、プリセットを探しやすい代表格です。

2. PCへの負荷(CPU)

シンセは、音を重ねるほどCPUを使います。特にユニゾン(同じ音を何本も重ねる機能)を多用するEDMでは、ノートPCだと動作が重くなりがちです。重いと感じたら、トラックをオーディオに書き出す(フリーズする)と負荷を下げられます。

3. 体験版・無料版で試せるか

シンセは操作画面との相性も大切です。Serum 2には15分制限のデモ版、Phase Plantには10日間の体験版、Pigmentsには無料版のPigments Playがあります。買う前に一度触ってみるのがおすすめです。

おすすめのシンセサイザー8選

ここからは、海外のプロデューサーにもよく使われている定番シンセを、おすすめ順に紹介します。

Serum 2(Xfer Records):迷ったらこれ

Xfer Records Serumの画面

Xfer Records Serum 2(画像は初代Serum)

Serum 2は、EDM Matrixが一番おすすめしているシンセサイザーです。初代Serumの頃から「このシンセだけあればOK」と言われるほど、万能で使いやすいのが理由です。フィルターやADSR、LFO、エフェクトといった基本機能が、わかりやすいインターフェースで視覚化されています。さらに、DubstepやRiddimで使うGrowlのような複雑な音作りにも対応しています。

Serum 2は2025年3月に登場した後継版で、主な特徴は次の通りです。

  • ウェーブテーブルに加えて、マルチサンプル、サンプル、グラニュラー、スペクトラルのオシレーターを搭載
  • アルペジエーターやクリップシーケンサーを内蔵
  • 初代Serumのプリセットをそのまま読み込める(Serum 2のプリセットを初代で開くことはできません)
  • Xferまたは正規販売店で初代Serumを買った人は、無料でSerum 2にアップグレードできる

なお、初代Serumは開発が終了しています。これから買うならSerum 2を選びましょう。一度に払うのが厳しい方は、SpliceのRent-to-Own(月額の分割払いで最終的に自分のものになるプラン)でも扱われています。条件はSpliceのページで確認してください。

Virtual Riot Tutorial

Serumの使い方がわからない方は、有名プロデューサーのVirtual Riotによる解説動画が参考になります。初代Serumの動画ですが、オシレーターやフィルターなど基本の考え方はSerum 2でも同じです。日本語で基本を押さえたい方は、Serumの使い方まとめもあわせてどうぞ。開発者のSteve Dudaについては、BARKSのインタビューで経歴が紹介されています。

Vital:無料で始めるならこれ

Vitalは、無料のBasicプランでもシンセエンジンの機能をすべて使えるウェーブテーブルシンセです。有料プラン(Plus / Pro / サブスクリプション)で増えるのは、プリセットやウェーブテーブルなどのコンテンツです。

  • Spectral Warp(波形の倍音を変形させる機能)で、1つの波形から多彩な音色を作れる
  • 手持ちのサンプルからウェーブテーブルを作れる
  • テキストからウェーブテーブルを生成する機能もある(無料プランは1日の回数に制限あり)
  • Windows・macOS(Intel / Apple Silicon)・Linuxに対応

操作の考え方がSerumに近いので、「Vitalで基本を覚えて、必要になったらSerum 2へ」という流れもおすすめです。

Pigments 7(Arturia):見て分かる多機能シンセ

Pigmentsは、バーチャルアナログ、ウェーブテーブル、サンプル、ハーモニック、グラニュラー、モーダルの6種類のエンジンを組み合わせて使えるハイブリッドシンセです。モジュレーションの動きが画面上で色付きで表示されるので、何がどう動いているかを目で見て理解できます。

2025年12月に公開されたPigments 7では、新しいフィルター(Rage / Ripple / Reverb)の追加や、Playビューの刷新が行われました。Pigmentsを持っている人は無料でアップデートできます。無料版のPigments Play(プリセット中心で操作できるパラメーターは限定)もあります。

Arturia Pigments 7(サウンドハウス)

Phase Plant(Kilohearts):自由に組み立てるセミモジュラー

Phase Plantは、オシレーター(ジェネレーター)、モジュレーター、エフェクトを必要な分だけ追加して組み立てるセミモジュラー型のシンセです。波形、ウェーブテーブル、サンプル、ノイズを自由に組み合わせられ、オシレーター同士のFM(周波数変調)にも対応しています。

エフェクトはKiloheartsの「Snapin」形式で、3系統のエフェクトレーンに並べられます。自由度が高いぶん最初は戸惑いやすいので、SerumやVitalで基本に慣れてからの2台目に向いています。10日間の体験版があります。

Massive X(Native Instruments):重厚なベースに強い

Native Instruments Massiveの画面

Massive X(画像は初代Massive)

初代Massiveは、EDM業界のベテランシンセです。Skrillexが全盛期だった頃は「Massiveが最強シンセだ」という雰囲気でしたが、Steve DudaがSerumを開発してからは人気が下火になりました。Serumには自分で用意した波形(ウェーブテーブル)を読み込めるので、Massiveのような音もSerumで作りやすくなったことが一因です。

現在のNative Instrumentsの主力は、後継のMassive Xです。一時は更新が止まっていましたが、2025年のバージョン1.6で更新が再開し、2026年3月にはバージョン1.7が公開されています。Massive Xは、NIの音源バンドルKomplete 26 Standardにも収録されています。ピアノやオーケストラ音源もまとめて揃えたい人は、バンドルを検討するのもありです。

なお、Native Instrumentsは2026年に経営再編があり、Akai Professionalなどの親会社であるinMusicが買収したと報じられています。製品の提供状況は公式サイトで確認してください。

Sylenth1(LennarDigital):クリーンで温かいベテラン

Sylenth1の画面

Sylenth1

Sylenth1は、長い間ダンスミュージックの定番とされてきたベテランのシンセサイザーです。使ってみると分かりますが、音がとてもクリーンで温かいのが特徴です。アナログシンセを再現したバーチャルアナログ方式で、4基のオシレーターそれぞれに最大8ボイスのユニゾンをかけられます。

ウェーブテーブルのような複雑な音作りは苦手ですが、王道のSupersawやPluckを手早く作りたい人には今でも選択肢になります。購入前に、公式サイトで対応OSとバージョンを確認してください。

Spire(Reveal Sound):高音域のプラックが光る

Reveal Sound Spireの画面

Spire

Spireは、音の豊富さが売りのシンセです。個人的な印象としては「かなり重い(CPUを食う)プラグイン」です。ただ、Harpのような高い音域のPluck音は、なぜか分かりませんがすごく良い音を出します。余裕があれば使ってみてください。

以前はサウンドハウスでも扱っていましたが、現在は販売が終了しています。入手は開発元のReveal Soundの公式サイトから確認してください。

Nexus(reFX):プリセットですぐ鳴らせるROMプラー

reFX Nexusの画面

Nexus

Nexusは、ここまでのシンセとは少し違い、録音済みの音(サンプル)を鳴らすことが中心のROMプラーです。現行のNEXUS5では、波形系のジェネレーターや自分のサンプルの読み込みにも対応しています。

プリセットを選ぶだけでプロっぽい音がすぐ鳴るのが強みで、リアルなGrand Pianoや、プログレッシブハウス系の華やかなLeadには定評があります。一方で、拡張音源(Expansion)は別売りで、1本あたり約1GBの容量を使います。たくさん揃えるとPCの容量を圧迫するので注意してください。

目的別のおすすめ

目的がはっきりしているなら、次の組み合わせで選ぶと失敗しにくいです。

  • お金をかけずに始めたい:Vital(無料)+DAW付属のシンセ
  • 1台で全ジャンルをこなしたい:Serum 2
  • Dubstep・Riddimの複雑なベースを作りたい:Serum 2、Phase Plant、Massive X
  • Future Bass・Trance系のコードやプラックを作りたい:Serum 2、Spire、Sylenth1
  • 音作りより、すぐ曲を作りたい:Nexus、Pigments 7(プリセットが豊富)
  • シンセ以外の音源もまとめて揃えたい:Komplete 26(Massive Xほかを収録)

よくある失敗は、最初から何台もシンセを買ってしまい、どれも使いこなせないパターンです。まずは1台に絞って、プリセットを開いて中身を分解するところから始めるのが上達の近道です。

よくある質問

無料のVitalだけでもEDMは作れますか?

作れます。VitalはBasicプランでもシンセエンジンの機能がすべて使えるので、ベース・リード・パッドなどEDMに必要な音はひと通り作れます。有料プランで増えるのはプリセットやウェーブテーブルなどのコンテンツです。

初代Serumを持っています。Serum 2は買い直しが必要ですか?

Xferまたは正規販売店で初代Serumを購入した人と、SpliceのRent-to-Own利用者は、無料でSerum 2にアップグレードできます。初代のプリセットもSerum 2で読み込めます。手順はXferのサポートページで確認してください。

FL Studioに付属のシンセだけではだめですか?

付属のシンセでも十分に曲は作れます。初心者のうちは、まずDAWに入っているシンセで頑張ってみて、「こういう音が欲しい」と作りたいサウンドがはっきりしてから買うのがおすすめです。付属するシンセはFL Studioのエディションによって異なるので、DAW選びの記事も参考にしてください。

ピアノやストリングスの音源はどれを選べばいいですか?

ピアノやストリングス、ギターのような生楽器の音は、録音した音を鳴らすサンプル音源のほうが得意です。ピアノ・ギター・オーケストラ音源のおすすめで詳しく紹介しています。

まとめ

  • シンセはまずSine・Saw・Squareの3波形と、Detune・フィルター・ADSR・LFOを覚える
  • 迷ったら、無料ならVital、買うならSerum 2。見た目の分かりやすさ重視ならPigments 7
  • プリセットの多さ・PCへの負荷・体験版の有無を確認してから選ぶ

次に読むなら、Serumの使い方まとめで操作を覚え、ベースの作り方で実際に音を作ってみましょう。EDM制作の全体像はEDMの作り方 完全ガイドにまとめています。

それではまた、次の記事でお会いしましょう。Happy Producing<3

次の1曲を、今日完成させよう
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