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DTM用のPCデスクトップ

「エフェクトプラグインが多すぎて、何を買えばいいのかわからない」という方に向けて、EDM制作で使うエフェクトを役割ごとに整理しました。結論から言うと、最初はDAW内蔵のエフェクトと無料プラグインで十分です。有料プラグインは、内蔵で物足りなさを感じた部分から1つずつ足していくのが失敗しない買い方です。

この記事でわかること

  • VSTエフェクトプラグインとは何か、インストゥルメントとの違い
  • EQ・コンプ・リバーブなど11種類のエフェクトの役割と使いどころ
  • 海外のEDMプロデューサーに定番の有料・無料プラグイン
  • 予算に合わせたプラグインの揃え方

VSTエフェクトプラグインとは

VSTプラグインとは、PC上で動く仮想の楽器やスタジオ機材のことです。代表的な規格の名前から「VST」と呼ばれます(Macでは AU、Pro Tools では AAX という規格もあります)。VSTプラグインは大きく2種類に分かれます。

  • Instrument(インストゥルメント)プラグイン: シンセやサンプラーなど、音を出す楽器。詳しくはInstrument編で紹介しています。
  • Effect(エフェクト)プラグイン: すでにDAW上にある音を、調整したり特殊効果をかけたりする機材。

この記事ではEffectプラグインを扱います。EDM制作でよく使うエフェクトを、重要なものから順番に並べると次の11種類です。

  1. EQ(基礎)
  2. コンプレッサー/リミター/マキシマイザー(基礎)
  3. サチュレーション/ディストーション
  4. リバーブ(基礎)
  5. ディレイ(基礎)
  6. サイドチェーン(基礎)
  7. ステレオイメージ(基礎)
  8. アナライザー(基礎)
  9. ピッチ補正
  10. トランジェント補正
  11. モジュレーション

ここからは、それぞれが何をするエフェクトなのか、海外のEDMプロデューサーの間でどんなプラグインが定番なのかを順番に紹介します。

この記事の手順は FL Studio Template Pro に設定済みです。 詳細を見る →

まず押さえたい基本のエフェクト

EQ・コンプ・サチュレーション・リバーブ・ディレイの5つは、ほぼすべてのトラックで使う基本エフェクトです。どれもDAW内蔵のもので十分に仕事をしてくれます。

EQ(イコライザー)

EQで周波数バランスを整えるイメージ

EQは、高い音と低い音のバランスを整えるエフェクトで、音作りとミックスの両面で最も重要と言われています。例えば、ボーカルがこもって聞こえるなら300Hzあたりを少し削る、ベースの存在感が足りなければ倍音が出る帯域を少し持ち上げる、といった使い方をします。

EQの仕組みやスタジオでの使い方を知りたい方は、次の英語記事も参考になります。

EDMプロデューサーの間では基本的にDAW内蔵のEQが使われていますが、1つだけ定番の追加プラグインがあります。

細かいところまで作り込まれた、かゆいところに手が届くEQです。個人的には、特定の周波数だけを分離して聴ける機能がミックスで本当に役立っています。最新のPro-Q 4では、帯域内の特定の周波数だけに反応する「Spectral dynamics」も加わりました。とはいえDAW内蔵のEQでも十分に仕事はできるので、余裕が出てきたら検討すれば大丈夫です。

コンプレッサー/リミター/マキシマイザー

音量の大小差を圧縮するコンプレッサーのイメージ

コンプレッサーは音量の大小差を小さくする(圧縮する)エフェクトです。例えばボーカルがサビだけ大きく、イントロが小さすぎて聞こえない、という場面で活躍します。大小差が縮まると全体が聴きやすくなり、音圧(迫力)も上がります。ごく短い時間で効かせれば、キックやスネアのアタック感を調整するトランジェント処理にも使えます。

  • リミター/マキシマイザー: コンプレッサーの極端版。一定以上の音量を出さないようにして音圧を上げるため、主にマスタリングで使います。
  • マルチバンドコンプ: 周波数帯ごとに圧縮の強さを変えられるコンプ。帯域ごとに性格が違うドラムバスやマスターでよく使います。

コンプの仕組みを英語で学びたい方は、LANDR の Audio Compression 101 がわかりやすいです。使い方の詳細はコンプレッサーの使い方の記事でも解説しています。

コンプ系のプラグインは、機種ごとに圧縮の仕方やノイズにクセがあり、好みが分かれやすいジャンルです。EDMプロデューサーの間でよく見かけるのは次のプラグインです。

種類定番プラグイン
コンプレッサーFabFilter Pro-C 3 / Cytomic The Glue / Waves CLA-2A(CLA Classic Compressors) / Waves Renaissance Compressor(Renaissance Maxx) / Waves API 2500(API Collection)
マルチバンドコンプFabFilter Pro-MB / Xfer OTT(無料) / Waves C6(Horizon収録) / iZotope Ozone 12
リミター/マキシマイザーFabFilter Pro-L 2 / iZotope Ozone(Maximizer) / Waves L1/L2/L3(上記 Horizon に収録) / Brainworx bx_limiter

正直に言うと、私はこれらのプラグインを全部持っていて、どれも素晴らしい働きをしてくれるのですが、結局いちばん好きで使っているのは無料のOTTです。どんな音でもOTTを挿すだけで前に出てきて、ミックスの中ではっきり聞こえるようになるんですよね。まだ入れていなければ、公式サイト(xferrecords.com)から入手してみてください。非公式の配布サイトは避けましょう。

なお、iZotope Ozone の最新版は Ozone 12(2025年9月)で、Stem EQ や Unlimiter などを搭載しています。iZotope は2026年7月に Boris FX に買収されましたが、既存のライセンスは継続すると発表されています。

サチュレーション/ディストーション

Why have I never used distortion..

— Audien (@Audien) September 5, 2011

上は、Audien が一躍有名になった曲「Wayfarer」をリリースする直前の本人のポストです。Wayfarer はベースがクリスピーで迫力があり、非常に質の高いサウンドです。それ以前のリリース「Eleven Eleven」と聴き比べると、音の仕上がりの差がよくわかります。ディストーションは、初心者がなかなか気づかない「プロっぽく聞こえるかどうか」の分かれ目になりやすいエフェクトなのです。

ディストーションは、音を歪ませる、つまり「音を壊して汚くする」エフェクトです。これだけ聞くと使うべきではないように感じますが、ポイントは少しだけ使うこと。少しだけ倍音を足すと、音が太く自然に聞こえるようになります。いわゆる「温かい音」「アナログっぽい音」です。ぜひ自分でいろいろな設定を試して、実感してみてください。プロデューサーの間でよく見かけるのは次のプラグインです。

個人的には Saturn か Decapitator が一番万能で、どんなタイプの歪みもこなしてくれる印象です。それ以外は音の印象を一気に変えるタイプなので、Riddim やニューロ系を作る方に向いています。ちなみに、かつて無料で人気だった CamelCrusher は、開発元が Apple に買収されて配布が終わっています。最後にもう一度。“Keep it subtle.”(少しだけにとどめる)、これがディストーションでは一番大事です。

リバーブ

リバーブで空間の広さを表現するイメージ

リバーブは「残響」を加えるエフェクトです。現実の音は、壁や床に反射して少しずつフェードアウトしていきます。リバーブがないスネアは「どこで鳴っているのか」がわからず、不自然に聞こえてしまいます。基礎を固めたい方は次の記事・動画が参考になります。

リバーブプラグインは種類が多いのですが、EDMプロデューサーの間では Valhalla DSP 製がとにかく定番です。

私がこれまで見てきたプロデューサーも、ほとんどが Valhalla を使っていました。私自身も使っていますが、本当に質が高いです。リバーブだけは、お金を出しても手元に置く価値があると思います。まずは無料の Supermassive で Valhalla の質感を試してみるのがおすすめです。詳しくはリバーブの使い方で解説しています。

ディレイ

ディレイ(やまびこ効果)のイメージ

ディレイは山びこのように音を繰り返すエフェクトで、リバーブとセットで「空間系」と呼ばれます。ただEDMでは、空間を表現するというより、グルーヴを増やしたり、フレーズの隙間を埋めたりする目的で使うことが多いです。例えば Rameses B – We Love では、ボーカルやプラックにディレイを効かせて、トラック全体のグルーヴを高めています。

ディレイは仕組みこそ簡単ですが、かけすぎるとミックスがごちゃつきやすいのが欠点です。具体的な扱い方は次の動画が参考になります。

ディレイはプラグインによる差が比較的小さいので、プロでもDAW内蔵のディレイを使うことが多いです。アナログっぽい質感を足したい場合に、

を好んで使う人もいます。FL Studio ユーザーなら、まずは内蔵の Fruity Delay 3 を使いこなすのが近道です。

EDMらしさを作るエフェクト

サイドチェーン・ステレオイメージ・モジュレーションは、EDM特有の「うねり」や「広がり」を作るエフェクトです。

サイドチェーン

サイドチェーンで波形が周期的に下がるイメージ

サイドチェーンは、キックが鳴った瞬間だけ他の楽器の音量を下げるテクニックです。ほとんどのEDMで使われていますが、わかりやすい例は Illenium – Fortress です。キックが鳴るたびに他のシンセが引っ込んでいるのが聴き取れます。キックがはっきり聞こえ、グルーヴも出るのがメリットですが、かけすぎると聴き疲れするので注意しましょう。

やり方は簡単な順に次の3つです。

  1. 専用のプラグインを使う
  2. ボリュームのオートメーションを書く
  3. コンプレッサーのサイドチェーン入力を使う

詳しい手順はサイドチェーンの記事で解説しています。ここでは1つ目の専用プラグインを紹介します。ミキサーに挿すだけで、BPMに合わせて拍の頭だけ音量が下がるので、手軽にサイドチェーンができます。

Kickstart は挿すだけで使える手軽さが魅力で、LFO Tool や VolumeShaper はカーブを細かく描ける柔軟さが強みです。FL Studio に付属する Gross Beat(Signature Bundle 以上に付属)でも同じことができます。

ステレオイメージ

ヘッドホンで聴くステレオの広がりのイメージ

プロの曲をヘッドホンで聴いて、「なんでこんなに音が広いんだろう」と思ったことはありませんか。例えば whysp x underscores – regretful(イヤホン推奨)は、非常に広いステレオイメージを持っています。こうした広がりは、パンを左右に振るだけでは作れません。左右の音にごくわずかな時間差をつける「ハース効果」や、ミッド/サイド処理を使います。プロデューサーがよく使うのは次のプラグインです。

ステレオ感に物足りなさを感じるようになったら検討すれば十分です。広げすぎるとモノラル再生で音が痩せるので、ステレオイメージの広げ方もあわせて読んでみてください。

モジュレーション(コーラス/フランジャー/ボコーダー)

モジュレーション系エフェクトで音作りを楽しむイメージ

モジュレーション系は、ミックスのためというより音を面白くするためのエフェクトです。

  • コーラス: 音をカラフルかつワイドにします。パッドによく使われます。
  • フランジャー: 音をうねらせます。Madeon – Cut The Kid のイントロのパッドを聴くと、少しファンキーで近未来的な質感がわかります。
  • ボコーダー: いわゆる「ロボットボイス」。Daft Punk でおなじみの音です。Zedd – Done With Love のイントロで聴けます。

どのDAWにも十分な機能のものが入っているので、追加で買う必要はほとんどありません。音作りの幅が広がるので、存在だけでも覚えておきましょう。

あると便利な補助系エフェクト

アナライザー・ピッチ補正・トランジェント補正は必須ではありませんが、使えると作業が確実に楽になります。

アナライザー

アナライザーで周波数を目で確認するイメージ

アナライザーは音を「目で見て」分析するプラグインです。普段は耳で判断している周波数バランスやステレオの広さを視覚的に確認できるので、自分のミックスを客観的に見られるようになります。ほとんどのプロデューサーが使っているのは、

です。有料の Waves PAZ Analyzer や iZotope Insight もありますが、個人的には SPAN で十分仕事をしてくれると感じています。使い方はアナライザーの記事で紹介しています。

ピッチ補正

ボーカルのピッチ補正のイメージ

ピッチ補正は、音の高さを曲のキーに合うように調整するエフェクトです。いわゆる「オートチューン」で、ボーカルはもちろん、サンプル素材のキーを曲に合わせたいときにも使えます。ラップやポップスでは、あえて強くかけたケロケロ声をアクセントにすることもあります。定番は次の2つです。

ボーカル曲をよく作る方は持っておくと便利です。FL Studio の Signature Bundle 以上を持っているなら、付属の Pitcher や Newtone をまず試してみましょう。

トランジェント補正

音の立ち上がりと余韻を調整するトランジェント補正のイメージ

トランジェント補正は、音の立ち上がり(アタック)と余韻(サステイン)を調整するエフェクトです。キックをもっと短くタイトにしたいときは余韻を削り、スネアにパンチが欲しいときはアタックを強調します。ドラムなど短い音の長さや、出だしの音量感を整えるのに便利です。

FL Studio の All Plugins Edition には Transient Processor が付属し、FL Studio 2026 ではトランジェントとサステインを分離して処理できる新プラグイン Transmitter(こちらも All Plugins Edition のみ)が追加されました。持っていない場合は、コンプのアタック設定やエンベロープでもある程度代用できます。

予算別・エフェクトプラグインの揃え方

迷ったら、「無料で揃える → 一番不満がある部分だけ有料にする」の順番がおすすめです。

段階揃えるものポイント
まずは無料DAW内蔵エフェクト、OTT、Valhalla Supermassive、Voxengo SPANこれだけで1曲完成させられます
最初の1本EQ(Pro-Q 4)またはリバーブ(Valhalla)作業時間が一番長い部分から投資
仕上げを強化Ozone 12 や Pro-L 2 などマスタリング系音圧・質感の悩みが出てきたら
個性を足すSaturn 2、Decapitator、ShaperBox 3 などサウンドの「味付け」をしたくなったら

価格はセールで大きく変動するので、購入前に販売ページで最新の価格を確認してください。

よくある質問

無料プラグインだけでEDMは作れますか?

作れます。DAW内蔵のエフェクトに、OTT・Valhalla Supermassive・Voxengo SPAN などの無料プラグインを足せば、リリースできるクオリティまで十分持っていけます。

最初に買うならどのエフェクトですか?

自分が一番時間を使っている作業に関わるものです。ミックスで悩むことが多いならEQ、空間作りに不満があるならリバーブから選ぶと、効果を実感しやすいです。

FL Studio の内蔵エフェクトで足りますか?

多くの場面で足ります。FL Studio には Parametric EQ 2、Fruity Limiter、Maximus、Fruity Delay 3、Fruity Reeverb 2 など一通りそろっています(Maximus は Producer Edition 以上)。使い方はFL Studio の使い方からたどれます。

まとめ

  • エフェクトは11種類。まずは EQ・コンプ・サチュレーション・リバーブ・ディレイの5つを使いこなす
  • 最初はDAW内蔵と無料プラグイン(OTT、Supermassive、SPAN)で十分
  • 有料プラグインは、不満を感じた部分から1本ずつ足していく

次に読むなら、エフェクトを実際の曲にどう使うかがわかるEDMのミックス完全解説、仕上げのマスタリングの手順、音を出す側のおすすめVSTプラグイン【Instrument編】がおすすめです。あなたの相棒になるプラグインが見つかるとうれしいです。Happy Producing <3

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