feat.〇〇に憧れるfeat.〇〇に憧れる!

EDMマーケティング講座では、全11回にわたり、日本人の個人EDMプロデューサーが海外でも活躍するための方法を解説してきました。最終回の第11回は、自分の曲にボーカルをつける方法です。結論から言うと、ボーカルをつける方法は①ボーカリストに依頼する ②ボーカルサンプルを使う ③AIボーカルを使うの3つ。この記事では、メインとなる「ボーカリストへの依頼」を中心に、探し方、メールの書き方、報酬の考え方まで解説します。

この記事でわかること

  • ボーカル入りの曲を作るメリットと、ボーカルをつける3つの方法
  • ボーカリストの探し方と、コラボ依頼メールの書き方
  • 報酬(一括払い・ロイヤリティ)の考え方と、契約で決めておくこと

FL Studio テンプレート Pro のイメージ

なぜボーカルが重要か

Chelsea Cutlerが参加した楽曲

feat. Chelsea Cutler

ボーカル入りの曲は、リスナーに覚えてもらいやすく、より多くの人に届きやすいのが強みです。歌える曲と歌えない曲なら、口ずさめる曲のほうが記憶に残りやすいのは想像しやすいと思います。

たとえばChelsea Cutlerは、この記事を書いた2019年当時までに、KidswasteやChet Porter、Kasboといったプロデューサーとコラボしていました。ボーカリストとしての評価が非常に高く、彼女が参加した曲は多くの人に聴かれていました。

インストの曲だけでなく、たまにはボーカル入りの曲も作ってみましょう。上の動画では、プロデューサーのBig Zが、

  • ボーカリストの探し方
  • メールの送り方
  • 報酬のオファーの仕方

について解説しています。今回は、この動画の内容を参考に解説していきます。

この記事の手順は FL Studio Template Pro に設定済みです。 詳細を見る →

ボーカルをつける3つの方法

方法メリット注意点
ボーカリストに依頼オリジナルの歌詞とメロディで、曲だけの声が手に入る。相手のファンにも届く報酬や権利の取り決めが必要
ボーカルサンプルすぐ使えて安価。Spliceなどのサンプルサービスで探せるほかの人の曲と同じ素材がかぶることがある。ライセンス条件を確認する
AIボーカル手軽にデモや仮歌を作れるサービスごとに商用利用の条件が違う。実在の歌手の声の無断再現は不可

リリースする曲で一番おすすめなのは、やはりボーカリストへの依頼です。以下では、その手順を詳しく見ていきます。

ボーカリストの探し方

気になったボーカリストの名前をメモしておく

普段から名前をメモしておく!

ボーカリスト探しは、普段からリストを作っておくのが基本です。曲を聴いていて「このボーカルの声いいな!」と思ったら、スマホなどにメモしておきましょう。そして「今回はこの人だ」と決めたら、連絡をとります。

  • 連絡先を探す:プロフィールやSNS、SoundCloudなどに、仕事用のメールアドレスが載っていることが多いです
  • 自分と近い規模の人から:最初は、再生数やフォロワー数が自分と近いボーカリストのほうが、返事をもらいやすいです
  • SNSで探す:InstagramやTikTokで歌ってみた動画を投稿している人の中にも、コラボ相手を探しているボーカリストがいます

コラボ依頼メールの書き方

ボーカリストへのコラボ依頼メールの例

上はBig Zのメールの例です。ポイントは次の3つです。

  1. 最初に興味を持ってもらう:メールの冒頭で「再生数」や「これまでの実績」など、相手が興味を持つ情報を伝えます。これは第3回の「海外レーベルとの契約を取るメールの書き方」で紹介した通りです
  2. インストを複数提示する:「Option 1 / 2」のように、ボーカルを乗せる予定の曲のインストを複数用意し、SoundCloudの限定公開リンクなどで聴いてもらいます。音声ファイルをメールに直接添付するのは避けましょう
  3. 自分のリンクで締める:最後に、SpotifyやそのほかのSNSへのリンクを載せます

英語のメールに不安がある方は、EDMプロデューサーに英語力は必要なのか?も参考にしてください。

報酬のオファーの仕方

ボーカリストへの報酬の考え方

ボーカルという作品を提供してもらうのですから、当然、報酬の話が必要です。このお金の話は動画では触れられていませんが、Big Zはコメント欄で丁寧に説明してくれていました。海外の相場が分からない人には、とても助かる情報です。(こうした視聴者への対応力は、プロデューサーとして見習うべきだとつくづく感じます。)

報酬についてのBig Zのコメント

要約すると、2019年当時の彼の説明は次のとおりです。

  • まだアマチュアの歌手なら、無料で応じてくれることもある
  • 経験豊富なボーカリストだと、$1,000以上かかることもあり、さらにロイヤリティを求められる場合もある
  • おすすめは一括払い(Flat Fee)。ロイヤリティ制にすると、将来もずっと売上の一部を払い続けることになるため
  • いきなり大きな金額を払えない場合は、ロイヤリティを50:50で分ける方法もある。最初の支払いはなくて済むが、曲がヒットしても収益の半分はずっと歌手に入る

相場はボーカリストや時期によって大きく変わるので、あくまで考え方の参考にしてください。

契約で決めておきたいこと

口約束だけで進めると、リリース後にトラブルになりがちです。最低限、次のことは文章(メールでも可)で残しておきましょう。

  • 報酬の金額と支払い方法(一括払いか、ロイヤリティの分配か)
  • クレジットの表記(「feat. 〇〇」と載せるか)
  • 歌詞やメロディを書いた人(作詞・作曲のクレジットと権利)
  • どこで配信・販売するか、リミックスやリリース後の使い方
  • 納品形式(ドライのボーカル、ハモリ、アドリブなど)

ボーカルサンプル・AIボーカルを使う場合の注意点

ボーカリストに依頼する以外の方法も、最近は増えています。

  • ボーカルサンプル:Spliceなどのサンプルサービスでは、ロイヤリティフリーのボーカル素材が手に入ります。ただし、同じ素材をほかの人も使えるので、曲がかぶることがあります。チョップしたり加工したりして、自分の音にするのがおすすめです
  • AIボーカル:AIで歌声を生成するサービスも登場しています。仮歌やデモには便利ですが、商用利用やダウンロードの条件はサービスやプランによって違うので、必ず最新の利用規約を確認してください。また、Spotifyは無断で他人の声を再現したコンテンツを、なりすましとして禁止しています

ボーカル素材を細かく刻む方法は、Slicexの使い方(ボーカルチョップの作り方)で解説しています。

よくある質問

英語が苦手でも海外のボーカリストに依頼できますか?

できます。依頼メールは短く、要点だけで十分です。翻訳ツールを使ってもかまいませんが、送る前に意味が正しく伝わるかを確認しましょう。

ボーカル入りの曲はどうやって配信すればいいですか?

インストの曲と同じく、ディストリビューターを通じて配信できます。配信の方法は個人で曲を配信する方法を参考にしてください。ボーカリストの名前を「feat.」で表記する場合は、配信前に本人の了承をとっておきましょう。

まとめ

  • ボーカルをつける方法は依頼・サンプル・AIの3つ。リリースする曲なら依頼がおすすめ
  • 依頼メールは実績 → 複数のインスト → 自分のリンクの順にまとめる
  • 報酬は一括払いかロイヤリティ分配かを決め、条件は文章で残す

お金の話も含めて、音楽業界の常識を理解したうえで、あなたの曲に合ったボーカリストを見つけられるとよいですね。EDMマーケティング講座はこれで最終回です。まだの方は#1 音楽業界の仕組みを理解しようから読んでみてください。

次の1曲を、今日完成させよう
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